球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

初の女性監督の誕生で球界に新風 ヤンキース1A、バルコベック新監督

[ 2022年1月23日 05:30 ]

ヤンキースの下位1Aタンパ監督となるバルコベックさん(AP)
Photo By AP

 大リーグ球団傘下のマイナーチーム人事は文書発表が決まりだ。ところが、ヤンキース1Aチームの新監督発表は、100人以上の記者とのビデオ対話で1時間以上続いた。レイチェル・バルコベックさん(34)の1Aタンパ・ターポンズ(ニシン)監督就任、大リーグ傘下球団の女性監督は史上初だ。ネットサーフィンでの情報収集の結果はなかなかのものだった。

 お祝いを女子テニス界の生きた伝説で、性的少数派の権利擁護で闘ったビリー・ジーン・キングさん(78)が寄せた。「野球に新たな歴史が。大学ソフトボールの捕手がヤンキース1A球団の打撃コーチから監督昇進。おめでとう」。新監督の興奮リアクションがいい。「OK、私は今死ねるわ。私のキャリアは終了よ。ビリー・ジーン・キングが祝福してくれたのだから」

 バルコベック監督の語るここまでの道は、球界の男性社会との闘いだ。13年には8つの大学が彼女に連絡してきたが、それはソフトボールに関わる仕事で、野球や男子チームで働きたいと言うと話は消えてしまう。妹の助言で履歴書の名前を「レイ」と男性風にしたこともあった…。個人的エピソードは豊かだが、伝統と名門意識に縛られ保守王国のイメージのヤンキースの積極的な女性幹部採用を彼女は指摘した。「ブライアン・キャッシュマンGMは、ジーン・アフターマンGM補佐を01年から採用したし、マーリンズのキム・ナンGMもヤンキースの幹部職にいた。2人の女性幹部の話が私をヤンキースに導いた」というのだ。

 「女性への偏見はまだ続くでしょう。でも言っておきますよ。来年には11人の女性が新たにユニホームを着ているでしょう」。大リーグ監督を目指す階段の最初のステップ、頂点はまだはるか、期待しよう。(野次馬)

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