球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

不評“伝統規則”を守る「気骨ある」ラルーサ監督

[ 2021年5月23日 05:30 ]

ホワイトソックスのトニー・ラルーサ監督(AP)
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 大リーグ伝統の「書かれざる規則」は選手にもファンにも「不合理な規則が多い」と不評だが、そんな風潮に抗するのが10年ぶりにカムバックしたホワイトソックスのトニー・ラルーサ監督(76)だ。

 17日のツインズ戦。本塁打した自軍の新人メルセデスを「大間違いを犯した」と切り捨てた。ホ軍は15―4の大差リードで9回表を迎え、ツ軍のマウンドに内野手が上がったのは「白旗」の意思表示だ。ホ軍は簡単に2死になって「大量失点チームに追撃停止」の伝統規則を守った。ところが、メルセデスが3ボールからの4球目、時速47・1マイル(約76キロ)の“速球”を中堅フェンス越え本塁打。「私は動転した」とラルーサ監督。サインは「テーク=待て」。三塁コーチも打ち気満々のメルセデスに伝えるが、無視された。「私はベンチから身を乗り出し“テーク、テーク”と叫んだ。見ていたツ軍にも私の動揺が伝わったはず」

 記者たちに「伝統規則違反か?」と問われたメルセデスは「自分の試合は自分流でやる」。ラルーサ監督は「“自分の試合”など存在しない。チームの、仲間の、ファンの大リーグの試合だ。試合では相手に敬意を払うべき。同業者の間の礼儀、エチケットは守らせる」。翌18日の試合の7回。メルセデスが打席に立つとツ軍投手は背後に速球の報復警告球を投げ、ロッコ・バルデリ監督とともに退場になった。「これでいい。抗議はしない」とラルーサ監督。

 今月初め、ラルーサ監督は「延長タイブレーク細則を知らなかった。両リーグでワールドシリーズを勝った殿堂入り名将も年には勝てない」と批判されたが、今度は少数メディアが「気骨ある老将」と褒めた。メルセデス支持が大半のホ軍選手にも「大将格好いい」と思う者がいるに違いない。(野次馬)

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