球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「インディアンス」名称変更に“商標権の壁”

[ 2021年4月4日 05:30 ]

 クリーブランド・インディアンスは今季が1915年から親しまれてきた「インディアンス」のチーム名を使う最後のシーズンのはず。ところが、それが怪しくなった。

 昨年7月、全米で巻き起こった「黒人の命は大切だ」の差別撤廃運動で名称変更に踏み切り、22年に「新球団名でスタート」を約束。しかし、オーナーのポール・ドーラン氏は「努力中だが、23年になるかも…」という。

 イ軍には先住民団体や人権擁護団体から「差別的名称の変更」運動が長年続けられた。球団も漫画「ワフー酋長(しゅうちょう)」のロゴを18年に引退させ、もう一歩前進の入り口でつまずいた。理由は「候補球団名の多くが特許商標庁に登録済み」だったため。イ軍が球団名称の変更を発表して数日以内に特許商標庁には全米各地から多くのチーム名商標出願があったという。イ軍に権利を売ろうという先読み商魂だ。

 メディアが新ネームの最有力候補に挙げたのが「スパイダーズ(くも)」。大リーグ創生期の1889年から11年間クリーブランドを本拠地にした球団だ。大投手サイ・ヤングの最初の球団で、球団最後の年に20勝134敗の大リーグ史上最悪の記録を残した。

 この「スパイダーズ」の商標出願をしたのがオハイオ州クリーブランドからはるか西のかなたにあるオレゴン州ポートランドの会社員。商標庁では申請不完全で予備的に拒否扱いにしたが、ご本人はイ軍からの連絡を期待し商売っ気十分。

 昨夏、NFLのワシントン・レッドスキンズ(赤い肌=先住民への差別語)が名称変更した。新しいチーム名が「ワシントン・フットボールチーム」。ひどい新ネームだが、イ軍同様に商標権で阻まれ、暫定チーム名なのだ。イ軍も「クリーブランド・ベースボールチーム」で行くのだろうか。(野次馬)

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