球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

壮大な実験?2桁人数コーチ集団がトレンド

[ 2022年5月8日 02:30 ]

 コロナ禍による20年の60試合シーズン以後、大リーグはさまざまな改革を行った。その一つに、コーチの数の急増がある。試合規則は、試合中ベンチ入りが許されるのは監督1人、コーチは8人まで。ベンチ入り選手が増える9月以降はコーチ9人だ。コロナ禍は現在も進行中だが、20年シーズンを起点と考えるとコーチの数はまるで「雨後のタケノコ」だ。

 「人材を抱えるほどチームは良くなる…」。ジャイアンツはそんな大胆な試みを実施し、21年シーズンに30球団中最高の107勝を挙げた。05年に巨人に在籍したゲーブ・キャプラー監督による13人のコーチ集団体制での成果だ。他球団の成功例はすかさずコピーするのが大リーグの各球団。「いまやコーチ集団体制は球界のトレンド」とニューヨーク・タイムズ紙。今季2桁人数のコーチ陣で戦う球団は13チームになった。

 キャプラー監督がジ軍監督に就任した20年、集団コーチ制の希望に球団幹部は驚いた。前任監督ブルース・ボウチー氏は13年間、ジ軍の指揮を執りワールドシリーズ3度の名将だが、コーチはたいてい6人まで。今の選手は世界中から集っている。経歴はさまざまだ。情報の洪水に巻き込まれ不安になっている。細かく指導していくべきだ。熱心に説く新監督の新構想に「GOサイン」を出したのが、名門球団の太っ腹だろう。

 「こんなにコーチが多くては、彼らをコーチする人材が必要では」とファンの投稿メール。キャプラー監督は用意していた。コーチ集団のまとめ役は、大リーグ史上初の女性コーチ、アリサ・ナッケン氏。細かい気配りで「船頭多くして船山に登る」状態とは無縁というが、コピーの他球団は?壮大な実験というべきか…。(野次馬)

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