球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

前人未到の戦い…エンゼルス・大谷には笑顔で前進してほしい

[ 2022年8月14日 02:30 ]

エンゼルスの大谷翔平
Photo By スポニチ

 大谷翔平が2桁勝利&2桁本塁打を達成した。NHKの中継アナは「野球の神様ベーブ・ルースに104年ぶりに並び…」と興奮口調。ルースが神様とは、初耳だ。

 大谷の快挙を分かりやすくするため“神様”に昇格させた。しかし、比較には同条件が必須、シーズン試合数が違うから比較は無理だ。大谷がしていることは完全にオリジナル。ルースは先輩の二刀流だが、無理に比較する必要はない。

 日本では先例がないと話が進まないが、オリジナルを尊ぶ米国が大歓迎なのは選手たちの感想で分かる。「とんでもないことを見せられている」、「同じ時代にプレーできてラッキー」

 また、大リーガーは他の選手と(たとえ殿堂入りの名選手でも)比較されるのを嫌う。「俺は俺」の自負の気持ちが強烈なのだ。大谷が好かれるのはその孤独な戦いが、日本的謙虚さに包まれ自然体でクールだからだ。

 大谷の「欠点」は、ルースのような欠点がないことか。例えばルースは圧倒的なプレー記録より、ダブルヘッダーの合間にホットドッグを24個食べたとか、「彼の栄養補助食品はビールとスコッチ」と言われた桁外れの食欲エピソードが親しまれた。大谷にそんな話を望むのは無理だろうが、トレード期限が迫る今月上旬の険しい表情には迫力があり、大谷の我慢も限界か、と思わせた。

 全米のメディアが注目する中、エンゼルスは使える選手を放出する無責任ぶり。「エ軍崩壊完了」とまで書くメディアも出た。球団の駄目さ加減には恐れ入ったが、前人未到の孤独な戦いを続ける大谷。腹が立ったら子供たちにボールを配って、笑顔に戻り、前進してほしいと願うのだ。(野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る