球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MVP争い ア・リーグは大谷、混戦ナ・リーグの行方は…

[ 2021年9月12日 05:30 ]

 「ア・リーグMVPは大谷翔平で保証されているが、一方のナ・リーグのMVPレースは10人もの有力選手が10月3日のシーズン最終日まで争うタイトな戦いに…」。スポーツ・イラストレーテッド(SI)誌の記事の一節だ。9月になって、こんな論調は多くのメディアで、さらに個人ネットレベルでも「常識」になった。「おめでとう、ショーヘイ!」とは言うものの大谷には本塁打王は手にしてほしい。野球の伝統を引き継ぎながら、さらに野球の新たな地平を切り開く大谷に米国が拍手を送っている。だが、伝統に縛られる老OB記者にはタイトルなしのMVPは「落とし物」がある気がする。

 ところで、ナ・リーグのMVP争い。過去の大混戦は03年のア・リーグだ。受賞はアレックス・ロドリゲス(レンジャーズ)だった。10人連記の記者投票で、1位14点、2位が9点~10位1点のポイント合計で争う。1位指名に10選手が挙がり、6記者が1位としたロドリゲスが混戦を制した。今回、有力紙・誌が挙げるナのMVP候補は、7月30日にナショナルズからドジャースにトレードのトレー・ターナー内野手は球史初のシーズン中移籍選手の受賞を狙う。フェルナンド・タティス内野手なら25年ぶりパドレス選手の受賞。コロナ禍の家族を守ると昨季休場のジャイアンツのバスター・ポージー捕手…多彩な顔が並ぶ。

 大谷が比較されるのは100年前のベーブ・ルースだ。本名はジョージ、ベーブ=赤ちゃんは愛称で球界の駄々っ子、球団、監督を悩ませた。現役引退後、監督を熱望したが、全球団が「自己管理できない君にチーム管理は無理」の返事。大谷の自然体の自己管理はルースを超えていると、一言添えておく。(野次馬)

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