球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ガーディアンズ “象徴”になるための100年が始まった

[ 2022年4月24日 05:30 ]

 107年間親しまれた「インディアンス」から「ガーディアンズ」と球団名を変え、15日のホーム開幕日を迎えたプログレッシブ・フィールド前の広場は昨季とは様変わりだ。「差別的なチーム名の変更」が実現し、長年続けられた抗議集会の全米先住民団体の姿が消えた。

 本拠地クリーブランドのオールドファンが、集まる観客が着ているジャージーを数え「インディアンスのジャージーが38人、新球団名のジャージー姿は見なかった」とニューヨーク・タイムズ=NYT紙記者に報告した。普通、球団名の変更は、チームが本拠地を変えたときだ。直近90年で、本拠地を変えずに球団名を変えたのは08年デビルレイズ→レイズ、65年コルト45's→アストロズ、レッズが54年から58年までレッドレッグスを名乗ったので、ガーディアンズは4番目になるとNYT紙。ガーディアンズへの改称は、世界的規模の文化改革の中で行われたのが特筆ものだ。20年のコロナ禍による短縮シーズン中に起こった「#黒人の命は大切」運動。オーナーのドラン一族は法律家で19年には漫画のインディアン首長ロゴを使用禁止にしてチーム名改称に備えた。「古い文化を捨て過ぎ」とファンは嘆くが、世界に広がった人種差別反対の潮流に勝てるはずがない。

 ガーディアンズの名は、球場近くの橋の巨大な柱に彫られた守護神から採られた。水路と陸路の安全を守る神。岩に彫られた仏のようで市の象徴というから球団名にふさわしい。だが球団幹部は苦笑する。「会議でみながいつの間にか“インディアンス”で話している。100年超の歴史は重い。チーム名はファンの心の中に織物のように織り込まれる。ガーディアンズの名がそうなるには時を重ねるしかない」。新しい100年が始まった。(野次馬)

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