球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

消える「GM」と欲望のまま増え続ける新肩書

[ 2021年10月3日 05:30 ]

 球団の職員名簿からゼネラルマネジャー(GM=総支配人)の名が消えていく…。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は、この動きを「昨日のGMは、今日の“野球活動部門部長”または“野球専任部長”だ」と皮肉った。

 監督、コーチ、選手を集める責任者がGMだ。カブス、ドジャース、レイズは「GM」を置いていない。新名称を30球団で統一すればいいのだが、各球団バラバラ。レイズで「野球活動部門主席副部長兼GM」のエリク・ニアンダー氏の肩書から「GM」を外し「野球活動部門部長」にした。「昇進ではない」と球団社長は念押し。ロイヤルズでは「新しく設けた野球活動部門部長に据えた職員を昇進人事」と発表、「GM補佐」を「GM」に昇進させた。記者たちは、役職の上下関係も球団ごとに違うので、混乱するばかりだ。

 「ファンのニーズに応えるチームづくりをGMとスカウトだけに任せる時代は終わった。データ分析、選手育成法、健康管理、心理学の応用等、最新の知識、技術を動員し、職員全員でのチームづくり競争の時」というのだ。フロント部門責任者を2人置く球団も増えた。職員の増員も目立つ。ロイヤルズは06年の職員85人が現在は266人。どの球団も増員で新部署立ち上げと新肩書づくりが「インフレ状態」になった。

 記事に寄せられた読者の投書が痛烈だ。「さすが欲望の国の国技だ。肩書を得て競争相手を蹴落とそうとするのはアメリカ人の強迫観念。球団職員もそうなった」「個性あるGMが個性あるチームをつくった時代が懐かしい。そもそも球団にこんなに多くの幹部職員が必要なのか?」。規律なき組織は仕事量に関係なく膨張する…。ファンには分かっていた。(野次馬)

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