球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLB セクハラと差別撤廃へ ようやく本気に

[ 2021年2月21日 05:30 ]

 メッツはバッテリー組キャンプインの17日(日本時間18日)、ライアン・エリス打撃コーチ補佐を「ひそかに解雇していた」と発表した。

 理由は女性職員へのセクハラ。事件は3年前で、当時球団は厳重注意して雇用を続けた。ところが1月、ジャレッド・ポーター新GMの女性記者へのセクハラが判明し、同19日に解雇したが、この事件調査中にエリス補佐の余罪が見つかり同22日に解雇。さらに19年までメ軍監督でエンゼルスのミッキー・キャロウェー投手コーチがメ軍と過去に在籍の複数球団でのセクハラが5人の女性から告発されてキャンプ参加停止。エ軍とMLB(大リーグ機構)の調査が進行中だ。

 球界の男女差別問題が表に出たのは77年、スポーツイラストレーテッド(SI)誌の女性記者がヤンキースタジアムで男性記者と同等の取材を拒否された。SI誌はMLBを訴え1年後、「MLBの措置は男女平等を定めた憲法修正14条違反」と勝利判決を得た。「だが、状況は42年間変わらなかった」と女性記者たちはいう。

 MLBは動いた。セクハラ問題に特化した新しい部署を立ち上げ、全球団のオーナー、GM宛てにセクハラと差別撤廃の強化指針を示し「MLBは立ち上がり、発言する」のタイトルの現状報告書を添えた。ニューヨーク・タイムズ紙が規則の一部を報告した。「事件の深刻さに対応する措置は、警告、資格停止、解雇」「真摯(しんし)な“内部告発”には、誠実に対応し、機密を保持し、報復は決して行わない」というのはネットメディアに匿名で暴露され、MLBや球団、メディアが後追いする現状防止のためだろう。

 球団の野球運営部門と経営部門それぞれの幹部5人の特別講習会への出席も命じている。ようやくMLBは本気になった。(野次馬)

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