球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLB労使交渉 なんとか合意もファン不在のむなしい金銭闘争だった

[ 2022年3月13日 02:30 ]

 新労使協定を巡る交渉はなんとか合意にこぎつけた。オーナー側がロックアウトで選手たちを抑えつけ99日目、ようやく162試合のペナントレースが楽しめる。勝利したのは選手たちか、オーナーたちか。ファンにはどうでもいい話だが、ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「ファンに心配を掛けた」と謝罪して、例によって“本音”の放言。何度も「この日が開幕を予定通りにできる最終日」と一方的に「デッドライン」を決め、交渉が決裂すると、また新たな「デッドライン」の繰り返し。「これが効果的」と自画自賛した。誠意なき交渉の告白にあきれる。

 気になるのは野球がどう変わるかだ。オーナー側が狙っていたプレーオフ出場を現行の10チームから14チームに増やす案を選手たちは阻止したが、12チームは多い気がする。選手たちは「プレーオフ出場球団の水増しはペナントレースの価値を下げる」と抵抗したが、金銭には代えられず妥協の産物。4大プロスポーツのバスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーは全て所属チームの半数以上がプレーオフに進出する。最もプレーオフ進出チームが少ないのが大リーグ、そのハードルの高さを守ったことを誇るべきだろう。ヘルメットとユニホームに広告をつけるのは品位が失われるのでは…。コミッショナーに就任した15年、マンフレッド氏は「現在のスッキリしたユニホームを愛している」と言ったのだが、7年たって新たな収入源に目ざとい商売人コミッショナーの大乗り気の変心。まさかレーシングカーのようになるのでは、と心配だ。

 シビアな金銭闘争から野球の話を拾ってみたが、やはり話はお金で終わる。ファン不在の金銭闘争のむなしさだ。(野次馬)

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