球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「ロックアウト」にMLB選手会、交渉人強化と“闘争資金”に裏付けも

[ 2021年12月5日 05:30 ]

 ロックアウトが始まった。球団側トップの大リーグ機構(MLB)コミッショナーのロブ・マンフレッド氏は「22年シーズンを守るためのロックアウト」と繰り返した。

 キャンプインは来年2月中旬、開幕は同3月末。交渉時間は十分、この間、選手を職場から締め出す圧力で、オーナー案の新労使協定をのます思惑だ。選手側のストライキ、オーナー側のロックアウト、いずれも労使交渉の最後の手段で、その行使は球界イメージを傷つけるだけ。球団側はそれをスケジュール闘争でやろうという強硬路線だ。

 選手会も戦闘態勢。現在の専務理事は選手出身のトニー・クラーク氏。交渉には労務専門弁護士団を組んで当たったが、スポーツの特殊性からか、成果は上がらない。17年、ようやく“理想の人物”ブルース・マイヤー氏を首席交渉人として迎えた。NBA、NHL、NFLの選手会で30年間働いた老練の労働訴訟官だ。むろん労使協定交渉は初めてだが、その経歴から選手会の期待は大きい。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、選手会の活動家でメッツに新加入したマックス・シャーザーはこう言っている。強化されたのは交渉人だけではなく、“闘争資金”の裏付けもあるという。選手会はこの争議のために過去5年間お金をためてきた。

 「最良のシナリオはこの金に手を付けずに済むことだ。いつかは合意が成立するが、それは選手の野球とはこうあるべきとの信念に合致するものでなければ駄目」。気になるのは、コミッショナーの交渉期限をキャンプまで、次に開幕まで、との明言だ。相撲の仕切りや記者の原稿締め切りと同じで、早く書き終わっても制限時間まで出さない。他の職業でも似たような例がありそうだ。(野次馬)

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