球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

最多14球団在籍 米代表の“遊牧民”エドウィン・ジャクソン投手

[ 2021年8月1日 05:30 ]

 東京五輪野球米国代表チームは、大リーグOBと有望若手の編成だ。OB組の異色投手エドウィン・ジャクソン投手(37)=右投げ右打ち=を紹介しよう。大リーグ在籍17年、通算成績107勝133敗だが、在籍球団14の大リーグ最多記録を持つ。「01年ドジャースのドラフト指名で入団、5年後レイズにトレード、それが旅の始まりさ…」。すごいのは20年のコロナ・シーズン前に契約球団がなくFAになった19年まで休まず投げ続けたこと。「球界のノマド(遊牧民)」とニューヨーク・タイムズ。

 「器用で使い勝手がいい投手なのが大成を阻んだ」とはレイズとカブスの監督時代にジャクソンと共にしたジョー・マドン監督(現エンゼルス)。平凡な成績の中で光るのはオールスター出場、ワールドシリーズ登板、ノーヒット試合達成だ。17年にナショナルズでジャクソンを知ったダスティ・ベーカー監督(現アストロズ)は「彼の父親は軍人だ。国内、外国の基地を常に移動する。新しい環境、新しい友人に囲まれる日々。それが彼の円満な人柄をさらに磨いた」とみる。「人柄の良さが、これほど多くの球団を巡った理由でもあるだろう」。本人は野球から引退した気はないが、現在は大リーグ機構が来年から10年間計100億円超の資金援助を行う、黒人を球界に送り込む活動をする団体「選手同盟」の幹部を務める。「五輪代表の誘いに飛びついたのは空軍出身の妻だ」という。「大リーグどころじゃない。オリンピックよ。参加しないと後悔するわよ」と。

 生まれは父の駐屯先のドイツ、それから14球団を渡り歩き、東京へ。「好投して球団のオファーを待つ。どうなろうと笑顔で受け入れるさ」。球界の遊牧民は楽しげに言っているそうだ。(野次馬)

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