球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLB 権利剥奪に年俸圧縮…選手会の反発必至

[ 2021年11月28日 05:30 ]

 大リーグ機構(MLB)と選手会は24日、来季の契約予定選手名簿の締め切りを12月2日から米東部時間11月30日午後8時(日本時間12月1日午前10時)に前倒しで合意した。

 現行の労使協定は同12月1日午後11時59分(同2日午後1時59分)に失効する。それまでに新労使協定の合意は難しい。協定がなければ契約予定選手が“中ぶらりん”だ。その混乱を防ぐ予防措置だが、選手会もMLBのロックアウト(施設封鎖)を見込んで合意したのだろう。

 新協定を巡りMLBは強硬路線で一貫している。9月ごろからMLBや球団からのロックアウト情報が野球メディアで流れ始めた。ついにはロブ・マンフレッド・コミッショナーの「ロックアウトは新労使協定交渉を進める上で最も有効な手段」というタカ派発言まで飛び出した。

 その理由を「オフシーズンのロックアウトはキャンプ、試合等に影響を与えない。そこを理解してほしい」というのだ。これまでずっと交渉し続けたが妥協点が見いだせなかった。そこで最後の手段のロックアウトで選手会を締め付け、新協定をまとめる…。そんな都合よい思惑が実現するだろうか?

 MLBが目指す新労使協定は、選手の権利を奪い(FA資格取得規定変更、年俸調停制度廃止)、選手年俸を圧縮し(一定額以上の選手年俸を支払った球団へのぜいたく税の基準額見直し)、さらに年俸に上限を設ける案もあるらしい。選手会の猛反発は必至だ。

 「キャンプインまで2カ月ある。交渉時間は十分」との声もあるが、マンフレッド氏には昨季の迷走がある。「開幕日、試合数決定に右往左往、4カ月もかかった。信用できない」とファンのSNS投稿。説得力がある。(野次馬)

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