球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ドジャースを大きく見せる“伝統的スカウトスタイル”

[ 2022年7月17日 05:30 ]

 大リーグは現地時間16日から19日までのオールスター・ウイークに重ね、ドラフト会議が17日から19日に開催される。そんなお祭り週間を前に、7日に伝えられたドジャースの伝説的スカウト、マイク・ブリトー氏(享年87)の訃報が巨大イベントと対照的だ。ネットには流されず、ある病院から球団に直接伝えられた。病院はド軍の「ドジャース・ファミリー」の旗印に添い「家族の死」を伝えたのだ。

 80年代中頃から代理人会社の選手データ売り込みがはやり、スカウトは大量解雇された。デーブ・ロバーツ監督は「ブリトーの成功は彼の眼力もあるが、有望選手にスカウトが直接会う、金と時間のかかるスタイルをド軍が維持したおかげ」と言う。30人以上の大リーグ契約選手を発掘、大当たりが81年にサイ・ヤング賞と新人王を獲得したメキシコの左腕フェルナンド・バレンズエラだ。

 当初はバレンズエラが地元ファンに受け入れられるか心配していた。57年にニューヨークから移転する際、新球場建設のためにメキシコ移民が多数住む土地を強引に地上げしていた。土地を追われたメキシコ移民が反発し…。なんて心配は無用、「フェルナンド・マニア」の誕生だ。後の「野茂マニア」の元祖だが、野茂マニア誕生当時のブリトー・スカウトはテレビの人気者に。ネット裏でパナマ帽をかぶり葉巻をくわえ、レーダーガンを構える姿が中継に映った。スカウト業がなくなっての異動だった。

 感心するのは当時のオマリー一族から、オーナーは4代も変わったのに良き伝統が守られていること。ほんの少し経営上の余裕を示して生まれる人間くさい伝説。それが球団を大きく見せている。(野次馬)

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