球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

黒人の球界進出へ“大投資”に踏み切ったMLB

[ 2021年7月25日 05:30 ]

強化試合   日本3―5楽天 ( 2021年7月24日    楽天生命 )

 オールスター戦中、コロラド州の新聞投書に「ナ・リーグの黒人選手はわずか2人」とあった。中南米選手が増え、差別問題は見かけで薄められた。大リーグ機構(MLB)はこの状態に危機感を持つ。80年代に約19%を占めた黒人選手は現在8%。幹部職では監督、フロント・トップがそれぞれ2人。「米国の多様性を反映していない」。そこで、MLBは“大投資”に踏み切った。黒人を球界のあらゆる階層に浸透させようと昨年夏に結成された非営利団体プレーヤーズ・アライアンス=選手同盟に、年11億円の財政支援を決定、選手同盟の基金活動費5億5000万円を加えて2023年から向こう10年間これを続けるというのだ。

 MLBはこれまでも全米都市の黒人少年たちへの野球普及活動を続けてきた。しかし、大学進学で野球からフットボール、バスケットボールに転向されてしまう。この2球技が大観衆を集め大学の経営を支える。奨学金はその選手たちに優先される。MLBは発想を変えた。昨年夏の「ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大切だ」運動。OB選手が集まり8月に行われた「ジャッキー・ロビンソンの日」に記念ビデオを作成、球場に流してファンを感動させた。タブーの社会運動もOKなのだ。MLBは選手組合と合同で11億円をOBの集まりに寄付した。選手同盟の発足だ。会長は7球団で計16年プレーしたカーティス・グランダーソン氏(40)。選手同盟は、MLBが今季のオールスター戦を黒人や移民を差別する州選挙法を制定したジョージア州からコロラド州に移した決定にも力を貸した。

 「10年間の援助はMLB史上最大、記念碑的な転換点。黒人の球界進出に全力を尽くす」とグランダーソン会長。今度は期待できそう、何しろとんでもない金額なのだから。(野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る