球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

当事者意識のないMLBのロブ・マンフレッド・コミッショナー

[ 2022年2月27日 05:30 ]

会見した大リーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナー(AP)
Photo By AP

 労使交渉は続く。「進展は見られなかった」とメディアの報。焦るオーナー側(MLB)は、一方的に交渉最終日を決めて、選手会を脅す。「ロックアウトをかけてから2カ月間、話し合いのそぶりもなかった。何を今さら」と選手会は動じない。

 「ロックアウトで選手会とのジャンプスタートの交渉が始まる」と大外れの楽観論を話したMLB(大リーグ機構)のロブ・マンフレッド・コミッショナーだが、最近は静かだ。話すたびに“問題発言”つきの記事が楽しみだったが、オーナー側が表に出さないようにしているのだろうか…。

 そんなコミッショナーにスポーツ・イラストレーテッド(SI)誌の女性記者がかみついた。見出しは「そんなバカな。“現状の交渉行き詰まりはロブ・マンフレッドの失敗ではない”とロブ・マンフレッドは言った」。お分かりと思うが、SI誌が怒っているのはマンフレッド氏の当事者意識のなさ、野球が好きとは思えない言動だ。

 球団の財政状況と、その利益を問われた返事にはあぜんとさせられた。「オーナーは投資銀行家を雇うべきだ。球団を買って何年か所有し続けてから売却する。買った時より売値は高くなっているだろうが、同じ金額を金融市場に投じて利益を上げる金額には、はるかに及ばないはず」。まるで球団売却の勧めではないか。

 ナショナル・パスタイム(国民的娯楽)を所有する誇りとかロマンとか野球文化を守る責任とかはマンフレッド氏には無縁だろう。野球は「単なる球投げ棒振り」で、それが、誰もが驚いた自身の名を刻んだワールドシリーズ優勝トロフィーを「単なる金属の塊」と呼ぶ暴言になった。ここ数年、大リーグは危機の連続。そしてこのコミッショナー、何という不運。(野次馬)

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