球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ホワイトソックス地区Vの“要”アブレイユに評価の声

[ 2021年9月26日 05:30 ]

ホワイトソックスのアブレイユ(右)AP
Photo By スポニチ

 ホワイトソックスが一番乗りで地区優勝を決めた。現場から10年離れていた殿堂入りのトニー・ラルーサ監督(76)の手腕もさすがだが、老監督と孫世代の選手たちの間に入ってチームをまとめた昨季のア・リーグMVPホセ・アブレイユ一塁手(34)が改めて評価された。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「さながら演奏の拍子、流れを決めるメトロノーム」と例えた。「14年の入団以来、彼を基礎にチーム再建した。球場外でもホ軍の活動はアブレイユが中心。彼はチームを愛し、我々も彼を全面的に信頼した」とリック・ハーンGM。

 アブレイユはホ軍に加わるためキューバを脱出した。13年、ボートでハイチに渡り、ホ軍が6年6800万ドル(約75億円)の契約で待つマイアミへ。すぐ主力になり、14年は打率・317、36本塁打、107打点で新人王に輝いた。

 ホ軍にこだわったのはミニー・ミノーソ(15年89歳没)の存在だ。黒人リーグから大リーグ入りし、ホ軍を主に4球団で外野手として活躍。1940年代から80年までプレーした伝説的キューバ出身選手で「ミスター・ホワイトソックス」と呼ばれた。ホ軍は彼を球団の殿堂に入れ、背番号9は永久欠番に。「入団する球団はホ軍と決めていたのはそのためだ」

 タイムズ紙が伝えるアブレイユの横顔記事に本人の談話はほとんどない。記者には「兄弟、話はしないよ」とスペイン語で答えたそうだ。なるほど、必要だが目立たない、計測器メトロノームだ。「クラブハウス内のことは内部にとどめておけ」の伝統の鉄則にもかなっている。不文律好きのラルーサ監督と気が合うに違いない。(野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る