球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLB ワクチン接種は行動範囲緩和「ご褒美のニンジン付き」

[ 2021年5月2日 05:30 ]

 コロナ禍の中、開幕して1カ月の大リーグは何とか日程を消化している。昨季との大きな違いはワクチンの登場だ。

 大リーグ機構(MLB)は開幕前に全球団にワクチン接種を呼び掛けた。試合要員の選手、監督、コーチ、スタッフなど計90人のうち85%(77人)がワクチン接種を受けた球団には厳しい行動制限の枠を緩める「ご褒美のニンジン付き」(ニューヨーク・タイムズ紙)だ。接触追跡センサーを外す、ウイルス検査回数を少なくする、ノー・マスクの範囲を広げる、などの細かい諸規定から解放の“特典”だ。

 現在、MLBは85%の壁をクリアしたのは9球団としている。個人の権利意識が強い国だ。お上のお達しに素直に従う日本のようにはいかない。カブスのエリク・ソガード内野手の妻ケイシーさんはネット上で「特典で接種を受けたくない選手に圧力をかけている」と批判した。

 ヤンキースのアーロン・ブーン監督は「85%の壁は越えられると確信している」というが「一人一人が意見を持っている。今後数カ月間でどうなるか」というのが球界の大勢。各球団GMや医療関係者、選手会は「ワクチン接種は強制ではない。しかし、接種で自分と家族を守り、チームの利益になり、社会の利益になる。そこを考えてほしい」。説得力を持つのは感染し苦しい治療を経て戻った選手の体験談。それをきっかけに選手の間で討論が進む球団が増え始めた。

 ニューヨークでは接種するワクチンの製薬会社を選べるらしい。市指定の接種場所にスマホ予約で製薬会社を指名、会社からの「選んでくれてありがとう」の返信で完了には笑ったが、“おまかせ日本”の方がおかしいのかもしれない。(野次馬)

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