球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「トラウトと大谷を地獄から救出すべき」名物コラムバッサリ

[ 2022年7月24日 02:30 ]

 ニューヨーク・タイムズ紙の「スポーツ・オブ・ザ・タイムズ」は名物コラムだ。米国は80年のモスクワ五輪を、ソ連のアフガニスタン侵攻を理由にボイコットした。「イワンのバカ(ロシア民話)の国での競技に参加するいわれはない」とのコラムの主張がカーター大統領に不参加を決断させた、とのメディア伝説がある。

 こうして権威を手にしたコラムがオールスター戦前日、「今こそマイク・トラウトと大谷翔平を救出すべき時」と主張した。「2人はさながらダンテの神曲・地獄編の登場人物」というのだ。700年も前のイタリアの大詩人の世界文学史上の傑作で、地獄をさまよう主人公に重ねられるあたり、さすが大谷、トラウトと思わなくもないが、原作を読んでいないから響きはもうひとつ。「2人の抜きんでた才能を使って勝つ方法が分からないエンゼルスは、野球地獄の9イニングを重ねるだけ。彼ら2人は単なるスターではない。それにふさわしい勝利を提供する努力と責務をチームは放棄している」と痛烈だ。

 日本のファンはもちろん、エ軍地元のファンも、大谷が打っても投げても、トラウトが打っても守っても勝てない才能の浪費にうんざり。「これは野球への裏切りであり、冒とくだ」「いっそのこと、トラウトに兼任監督を」の声も出始めた。コラムの結びは「現状が続けば2人がニューヨーカーになることをエ軍は覚悟しておくべきだろう」とメッツかヤンキースへの移籍を予想。タイムズ紙のコラムの売りは冷静さだが、珍しく記者の感情がほとばしった。無策のチームにあきれ果てたに違いない。(野次馬)

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