球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

異色の名将 解任理由は「哲学上の相違」?

[ 2021年10月24日 05:30 ]

 監督選びはどう行われるのか?監督経験者、コーチで手腕を発揮したもの、自軍選手で監督向きと目をつけた選手OBの抜てき…。最も多いのは監督OBからの再雇用だ。実績が分かっている安全、手堅いのが売りの「リサイクル監督」と言ったらいいか。

 その監督OBで“大物”が登場。先週、カージナルスから契約をあと1年残しながら突然解任され球界、メディアを驚かせたマイク・シルト氏(53)だ。早速マスコミ辞令で監督空席のパドレス、メッツが候補に挙げて「解任理由の調査に取り掛かった」というのだ。実は記者たちも解任の理由が分からない。カ軍のジョン・モゼリアク野球部門社長は「哲学上の相違のため」としか話さなかった。

 シルト氏は異色の名将だ。プロ経験は一切なし。大学野球でプレーの後、高校野球の指導者などを経てカ軍のスカウトに。マイナーのコーチに転じ大リーグ監督にまで上り詰めた。途中就任の18年シーズンを除き19年から今季まで3シーズン全てポストシーズン進出。19年、ナ・リーグ中部地区優勝で最優秀監督。今季も敗れはしたが、ドジャースとの一発勝負のワイルドカードゲームに持ち込む17連勝は高く評価されたのだが…。

 シルト氏のリモート会見映像を見た。質問は受けず、18年間のカ軍生活の感謝声明。「私はカ軍のレガシーを守るため身も心も魂もささげ尽くした」。涙、涙、また涙の「カージナルス愛」。他チームの指揮を執れるのか心配になったほど。

 ところで監督解任理由の「哲学上の相違」とは。半世紀前の冬の集会での監督解任会見が初耳だ。説明を頼むと「GMは4階に行くという。監督は3階だ、という。そういうことだ」。AP通信の老記者が、解任理由説明を避ける決まり文句と教えてくれた。(野次馬)

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