球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

マイナーリーグ選手からの「キャンプ参加給与」嘆願書の本音

[ 2022年5月1日 05:30 ]

 大リーグは超大金持ちの優良スポーツ企業だ。それが、大リーグ球団傘下の1000人ものマイナーリーグ選手から「キャンプ参加給与を支払ってほしい」と請願書を突きつけられた。組合がないマイナー選手にはマイナー出身のOB、出身の弁護士、現役大リーガーらが集まる「マイナーリーガー支援団体」があり、請願書をまとめ申し入れた。MLB(大リーグ機構)は「現在法廷で争っている案件に関するコメントは控える」と回答した。

 これまでも何人ものマイナー選手が、所属球団のある州の最低賃金法が定める金額に満たない賃金でのプレーを州法違反として法廷で争ったが、敗訴を重ねた。MLB弁護士の言い分は、野球選手は画家や音楽家と同じく一般労働者とは違い、最低賃金法の適用対象ではない。そして「キャンプで利益を得るマイナー選手は、無給であるべき」とする。3月にはキャンプ地のアリゾナ州、フロリダ州の法廷は「給与を支払うべき」としたが、MLB側の法廷での抵抗が続く。実は請願書の本音はマイナー選手の組合結成。大リーグ選手会(労組)と気脈を通じての行動だ。

 ロックアウト中、コミッショナーのロブ・マンフレッド氏はマイナー球団の削減を提案した。選手会は拒否したが、マンフレッド氏は20年にマイナーの40球団をつぶして1400人の選手を失職させた“実績”を球界再編成の成功と誇る。今度は10球団程度の削減狙いらしいが、請願書には大リーガーたちの怒りもこもっている。人材で勝負すべき大リーグのトップが人材育成組織を破壊する蛮行。大リーガー、マイナーリーガーが手を結ぶ組織ができれば、マンフレッド氏最大の功績だろう。(野次馬)

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