球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

野球人気低迷を象徴?米国出身黒人選手の減少

[ 2022年3月27日 05:30 ]

 大リーグは人種の多様性を誇る。世界中の野球トップ選手の集団である。それは同時に米国固有の野球文化の一部を失った。米国生まれの黒人選手の減少だ。

 「野球は人気スポーツだが、かつてプロスポーツ界を支配し、広く国民に親しまれた人気はない」とニューヨーク・タイムズ紙。その流れの中に黒人選手の減少がある。昨季ワールドシリーズを戦ったドジャース対レイズの両軍計55人の選手で、黒人選手はド軍のムーキー・ベッツ外野手1人。ベッツはオールスター戦でのナ・リーグ32人のオリジナルメンバーでもただ一人の黒人だった。

 大衆文化の研究者は40、50年のジャズミュージシャンは多くが黒人で「野球はクール」と熱愛していたと指摘する。現在の「ヒップホップのスターは野球よりバスケットボール、フットボールを好む」という。

 スポーツ収入で運営するカレッジの奨学金の割り当ては、最も稼ぐフットボールが80、残りをバスケと野球で分け合うが、野球が最低額だ。用具が多く高価、さらに遠征試合経費など、高校野球レベルで両親が年1万ドル(約120万円)以上の援助が必要と言われる。低収入の黒人家庭では大リーグを目指すレベルのアマチュア野球を続けるのは難しい。81年、黒人選手は大リーガーの18%を占め、86年までそれを維持したが、以後その数を減らす。激増はラテン系選手で21年に30%に迫り、黒人選手は7%。

 同紙はこんな事実も紹介した。インスタグラムのフォロワー数最多の大リーガーはエンゼルスのマイク・トラウトだが、全スポーツでは130位。25人のバスケ選手と9人のフットボール選手がトラウトの上にいる。組織のランキングでは大リーグは33位。ネット空間のスポーツの多様化、自慢できる順位なのか…? (野次馬)

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