球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“厳冬”に積極補強のパドレスに注目

[ 2021年1月3日 05:30 ]

 パドレスは地味な球団だ。選手年俸ランクは20位あたりを上下し、成績もコロナ短期シーズンの昨季37勝23敗が10年以来の勝ち越し。そんなパ軍が年末の球界を驚かせた。レイズから18年ア・リーグのサイ・ヤング賞左腕ブレーク・スネル(28)を、さらにカブスから昨季ナ・リーグ、サイ・ヤング賞投票2位のダルビッシュ有(34)を相次いで獲得した。パ軍が引き継ぐ2人の契約年俸総額は1億ドル(約103億円)、昨季15位の年俸ランクは4位になった。メディアはパ軍を「今季ワールドシリーズの大本命」に指名した。

 ただし、この予想は性急だ。そもそも選手移動の市場が動いていない。いまだにFA選手の80%が未契約。代理人を代えて売り込む選手も出始めた。トップFAの球団が決まらないと予想精度は落ちるが、最大の問題は今季162試合のフルシーズンの不透明さだ。「そのため動こうにも動けない」とGMたち。「多くの球団のGMがコロナ感染拡大中は選手に大金投資がしにくい、という。イライラしながらも開幕までの選手契約が“長期戦・我慢比べ”になると覚悟している」とプロスポーツのコンサルタント会社は指摘する。「しかし、パ軍のA・J・プレラーGMは14年8月に就任以来、いつも変則的な動きをしてきた。今回も他球団が昨季の無観客試合の損失で補強投資に慎重になり、大物を獲得しやすいと、“勝負に出た”のがこのトレード」。

 大金投資の球団の登場を歓迎するのは選手、代理人、野球メディアだけではない。大手ブックメーカーはパドレスをヤンキースの上に挙げ、ドジャースに続く2番手にしたという。パ軍の賭け金1億ドルの大勝負。勝っても負けてもこれは見ものだ。(野次馬)

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