球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「何だって起こる」ポストシーズン 長期の今季は何が…?

[ 2022年10月16日 05:30 ]

 ダルビッシュのパドレスは勝ち上がれるか。ヤンキースのジャッジはレギュラーシーズン終了間際でア・リーグ新記録の62号本塁打を放ったが、ポストシーズンでは鳴りを潜め地元でブーイングを浴びている。

 アストロズのアルバレスは、21年ぶりにポストシーズンに出場したマリナーズに2試合連続で本塁打を浴びせ連勝、プレーオフ序盤のヒーローに。「ジャッジと大谷にだけ注目が集まっていた球界にアルバレス登場はいいニュース」とニューヨーク・タイムズ。ポストシーズンは「野手には塁間距離は長く感じられ、投手には捕手のミットが小さく見えるものだ」という。中継画面でも、そんな緊張感は伝わってくる。試合が多すぎると思っていたが、量が質を落とさないのがさすがだ。

 「野球には何だって起こる」という。そのことは身をもって経験した。86年ワールドシリーズはレッドソックス対メッツ。メッツ監督は元巨人のデーブ・ジョンソン。レ軍が3勝2敗と王手をかけ、迎えた第6戦、レ軍が延長10回に2点を勝ち越した。その裏2死走者なし、68年ぶりの世界一のトロフィーまで、あと1人だ。ロッカーの壁にビニールが張られ、テーブルにはシャンパンが林立されていた。

 だが、レ軍の夢と担当記者のメロドラマはここまで。そこから3連打を許し暴投、そして球史に残るビル・バックナー一塁手のトンネル。メ軍の逆転サヨナラだ。記者席に駆け戻るレ軍担当記者たち。一人残って壁のビニールが剥がされシャンパンの林が消え、祝宴の席を殺風景なロッカーに戻す速さを感心して眺めていた。今回の長期ポストシーズン、どんな挿話を生むだろうか。(野次馬)

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