「さあ、ここからだ!翔平」大谷の二刀流“育ての親”栗山監督にとって快挙は必然だった

[ 2022年8月11日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5ー1アスレチックス ( 2022年8月9日    オークランド )

2013年、プロ初勝利時の大谷と栗山監督
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 さあ、ここからだ!翔平――。エンゼルス・大谷の快挙を受け、日本ハム時代の恩師・栗山英樹氏(61)が9日(日本時間10日)、侍ジャパン監督の立場を離れて熱い思いを語った。二刀流の育ての親として、ベーブ・ルースの記録に並ぶことを確信。104年前の記録には世界的に大流行したスペイン風邪が関わっていたとされ、コロナ禍での快挙という不思議な符合を指摘し、歴史をつくるのはこれからだと期待した。

 驚きなどない。自ら25号ソロを放って決めた104年ぶり史上2人目の快挙も、栗山氏には必然だった。

 「こうなるもんだと信じていた。だから“いつかこういう日が来たら”というような感じは全くない」。大谷の投打での資質を見抜き、プロへ導き、周囲の批判を受けながら二刀流で育て上げ、メジャーへ送り出した。そんな育ての親なればこその言葉だ。「絶対にこうなると信じていたから前に進めたし、そこへ行くために何が必要かを翔平も分かっていた。二刀流ができないなんて、今まで一度も思わなかった」

 だから、この快挙も到達点ではない。栗山氏はこう続ける。「この記録達成には大きな意味、意義を感じている。野球の神様からのメッセージだと」。今の野球界は過渡期にあると言う。エンターテインメントの多様化で視聴率は下がり、野球人口が減少。その中でベーブ・ルースにしかできなかったことを成し遂げた。「翔平が常識を覆した今、ただ凄いねと感動するだけではなく、野球がこれからどこへ進むのかを考えないといけない」

 104年前と不思議な符合もある。1918年はスペイン風邪が大流行した。第1次世界大戦下でもあり野球選手、特に投手が不足した。毎試合出場したいルースは野手に専念したかったが、チーム事情で投手も兼ねた。それが2桁勝利&2桁本塁打の記録につながったとされる。今、世界では新型コロナウイルスのパンデミックが起こっている。栗山氏は「背景が同じなのは偶然ではないと思う。歴史がつくられる時というのは、そういうものだから」と言った。

 ルースはこの記録から2年後、ヤンキースに移籍し野手に専念して本塁打を量産。ファンを魅了し、野球の在り方を変えた。栗山氏は大谷にルースと同じ道を見ている。歴史をつくるのはこれからだと。だから今、大谷にこの言葉を贈った。

 「さあ、ここからだ!翔平」――。

≪日本球界から「おめでとう」≫
 ▼巨人・原監督 ベーブ・ルース以来だからね。見事だと思いますね。もう何という言葉で形容していいか分からないくらいのね、やっぱり人間って可能性を持っているんだなというね、凄いと思いますね。

 ▼楽天・石井監督 メジャー経験者として、とてつもないことだと思う。僕もどれだけ勝つのが難しい世界か体験している。打席にも入ってどれだけメジャーの投手を打つのが大変かというのも分かっている。大谷君の実力からしたら道半ばだと思うので、さらに頑張ってほしい。

 ▼巨人・中田 別に驚かないというか、一番近くでアイツの凄さというものを見てきたのでね。一ファンとしてもっともっと頑張ってくれるのを応援したいと思います。

 ▼日本ハム・近藤 凄いのひと言に尽きます。同じグラウンドでプレーしていたとは思えないほど遠い存在になってしまいましたが、翔平にとってはまだまだ通過点だと思います。ケガだけはしないように、これからもメジャーで活躍してほしいです。

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2022年8月11日のニュース