「梅野なくして、優勝はない」 阪神の誠意 生え抜き捕手史上最大級の3年契約で梅野流出を阻止

[ 2021年12月8日 05:30 ]

契約更改交渉を終えた阪神・梅野は球団旗を掲げてポーズをとる(撮影・大森 寛明)
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 阪神の梅野隆太郎捕手(30)が7日、西宮市内で契約更改を行い、新たに球団の生え抜き捕手では最大級となる3年契約、来季年俸1億6000万円でサインした。“タテジマ”で優勝捕手を目指すことを決断した正妻は昨年まで3年連続で受賞していたゴールデングラブ賞の奪還、自身初のベストナイン選出を目指すことも宣言。中心選手の自覚十分に、チームを引っ張っていく。

 紺のスーツに紫のネクタイを締めて登場した梅野の決意表明は、熱く、まぶしかった。

 「率直に、この阪神タイガースで優勝したい。みんなで勝ち取りたいと思い、決断させてもらいました」

 国内フリーエージェント権を行使せず残留を表明してから4日後に3年契約を結び、腹は決まった。わずか5厘差で優勝を逃した今季を「(差が)小さかったと感じず、大きかったと感じて」と振り返り、「優勝争いの一つの壁を越えられなかった。そこをキャッチャーとして乗り越えたい」と責任と自覚を口にした。今季125試合で先発マスクをかぶった背番号2の躍動が、その近道となる。

 個人の数字を追いかけることはしないが、取り戻さなければいけないものはある。守備面ではブロッキングなど陰の貢献はもちろんのこと、今季はリーグ3位に終わった盗塁阻止率の向上にも期待がかかる。そして、その先にあるのが昨季まで3年連続で手にしていたゴールデングラブ賞の奪還。「狙いにいくよりも(最後に)付いてくるものと思って。捕手という苦しいポジションで自分で納得できるもの、できないもの、反省点は踏まえながら。優勝キャッチャーになるということが今後の目標で、それができれば付いてくる」と言葉に力を込めた。

 主に7、8番として得点圏打率.321の勝負強さを誇った打撃面でもさらなる進化を期す。「波を減らしていきたい。毎年、キャリアハイを目標にしてやっているんですけど(今年は)それを超えられなかったというのはまだ課題はある」。不調に陥ったシーズン後半の経験が糧。「1回も獲ったことがないし打って、打って、打ちまくって獲れるようにやるのが一番」と自身初のベストナイン選出にも照準を定めた。オフは故障しない体づくりをテーマに掲げ、先発マスクを1試合でも増やして長年掲げる全試合出場も狙う。

 スアレス退団という逆風も正捕手は、他の投手陣の“伸びしろ”ととらえる。「いなくてもカバーできるような投手陣と最高の成績を。最後のひとつのアウトを取るまで、みんなで喜び合えるまで、どのピッチャーが投げても一生懸命やっていきたい」。頼れる仲間たちと頂点へつながる道を前進していく。(遠藤 礼)

 《明かした「本当にうれしいお言葉」》梅野は交渉の過程で、球団から熱い言葉をかけられたことも明かした。「“梅野なくして、優勝はない”と。本当にうれしいお言葉をいただき、そういう思いで来季もプレーしていきたい」。熱意を伝えてきた嶌村聡球団本部長も残留表明時に「来季も一緒に同じユニホームでプレーしようと言い続けてきた。そういう(最大の補強という)表現も当然ある」と喜びを口にしていた。扇の要の流出を阻止できたことは、チームにとって今オフの大きな収穫だ。

 【近年の主な阪神捕手の複数年契約】
 ★矢野 輝弘 00年オフにFA宣言。4年契約で残留。FA権再取得の05年オフにも2年契約で宣言残留している。
 ★野口 寿浩 日本ハムから阪神に移籍して2年目の04年オフにFA宣言。3年契約で残留した。
 ★城島 健司 09年オフにマリナーズから日本球界復帰。阪神と4年契約を結んだが、相次ぐ故障から12年9月、契約を1年残して現役引退を表明。
 ★藤井 彰人 10年オフ、楽天からFA移籍の際に2年契約を結んだ。

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