阪神優勝の使者や!! 高橋329日ぶり白星 “東京の父”に恩返し「勝つことができて、ほっとした」

[ 2021年9月19日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1ー0中日 ( 2021年9月18日    甲子園 )

<神・中(17)>今季初勝利を挙げ、スタンドのファンに手を振る高橋(撮影・北條 貴史)
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 チームも、虎党も待ってたで!阪神・高橋遥人投手(25)が18日の中日戦で7回2安打無失点、10奪三振と力投し、今季初勝利を挙げた。昨年10月24日巨人戦以来、329日ぶりの白星で復活をアピール。今季は度重なる故障に悩まされてきたが、ようやく本来のパフォーマンスを発揮した。悲願の 優勝へ向けて負けられない戦いが続く猛虎に、心強い左腕が帰ってきた。

 勝利の瞬間、高橋の胸中では、さまざまな感情が交錯した。喜び、心苦しさ、感謝…。長い道のりを経てつかみ取った今季初勝利には、1勝以上の重みが備わっていた。

 「チームに迷惑をかけて、うまくいかないこともたくさんあった。この1勝が全てではないですけど、勝つことができて、ほっとしました」

 今季は出足からつまずいた。2月の春季キャンプ中に右脇腹を痛め離脱。その後は上肢のコンディション不良にも悩まされ、リハビリ期間が長引いた。さらに復帰戦となった9日のヤクルト戦では4回6失点と精彩を欠いた。不調、不振…。立ちはだかった試練は大きく、ぶ厚かったが、ようやく乗り越えた。

 試合前に「腕がもげても投げる」と坂本に宣言。「腕がもげたら投げられへんやろ」と笑いに変えられたが、その覚悟で臨んだマウンドだった。初回を3者凡退に抑えて滑り出し、2回2死二塁を切り抜けて波に乗った。「良くなかった」と自 己採点した直球を、スライダー、カットボール、ツーシームなどでカバーしながら中日打線を手玉に取った。7回2安打無失点で10奪三振。「いい緊張感の中で 投げられた」。納得の95球だった。

 長いリハビリ期間。下を向きそうになった時、鳴尾浜の2軍施設で先輩、後輩問わず掛けてくれた励ましの声に奮起した。さらに亜大時代のアルバイト先の店主からも、心身両面で支えられた。当時から“東京の父”と慕う「レストラン・ベースボール」の江口信男さん(73)とは毎日電話するのが日課。今年もスタミナが必要となる真夏に好物の特製「蓮根(れんこん)のきんぴら」が差し入れられた。この日朝もいつも通り電話で話し、「今から行ってきます。頑張ります」と健闘を誓った。そして恩返しの勝利を挙げた。朗報に接した江口さんも「もう最高です。やっと勝ててうれしいの一言に尽きます」と自らのことのように喜んだ。

 チームの連敗を2で止め、難敵の大野雄にも投げ勝って健在ぶりを示した。矢野監督からも「優勝するっていうところで遥人が帰ってくるというのは、大きな要素の一つ。そういうピースになりうる投手」と期待を込められた。残り30試合。16年ぶりの優勝に向かう猛虎に、心強い左腕が帰ってきた。(長谷川 凡記)

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