広島・宇草 初安打&初盗塁で最高の初陣 裏にあるのは「一番下手くそだから」の猛練習

[ 2020年10月7日 05:30 ]

セ・リーグ   広島4-4阪神 ( 2020年10月6日    マツダ )

<広・神(18)>5回2死、宇草は左中間にプロ初安打となる二塁打を放つ (撮影・奥 調)
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 広島ドラフト2位・宇草孔基外野手(23)は6日に初昇格し、即、阪神戦に「1番・左翼」でプロ初出場初先発。1安打1盗塁と躍動した。5回2死から左中間への二塁打で初安打を放ち、7回には四球で出塁した直後に初盗塁。今季初の4連勝はお預けとなる引き分けも、大卒新人が上々のデビューを飾った。

 宇草は、快足を飛ばしながら本拠地でのプレーを実感していた。「歓声がすごくてプロ野球だなと思った」。昇格即日で抜てきされた「1番・左翼」での初先発初出場だった。2打席凡退で迎えた5回2死無走者。フルカウントからの青柳のツーシームを強烈なライナー性で左中間へ。初安打は長打となり、二塁ベース上で大きな歓声を浴びた。

 「もちろんうれしいです。前の2打席で凡退していたので、遊撃の頭上に強い打球を打とうと思っていた」

 7回1死無走者から四球を選び、直後の田中広の打席で初盗塁となる二盗を決めた。松山の左前適時打で、初得点を踏んだ。

 強打と俊足を兼ね備る大卒外野手。ウエスタン・リーグ最多の62安打を放ちながら、シーズン終盤まで昇格機会は訪れなかった。要因の一つは、大学時代からの課題である送球難。「キャンプのときは、キャッチボールすらまともにできませんでしたから…」。至近距離でさえ、毎回助走をつけるようにステップを踏まないと投げられない時期もあった。周囲からは「イップス」と言われた。

 現役時代に同じ背番号38だった赤松2軍外野守備走塁コーチから言われ続けた。「攻めたミスはいいんだよ」。思い切り腕を振れば、悪送球も責められなかった。「だいぶ良くなったやん」。同コーチの一言に背中を押され続けてきた。

 大学時代は、豊富な練習量で送球難の克服を目指した。後輩になぜそこまで追い込むのかを問われ、「一番下手くそだから練習しないといけないだけだよ」と伝えた。入団後も続いた猛練習で、送球は徐々に安定。シーズン中、法大・青木久典監督に送球動画を送ったことがある。思い切り良く腕を振る姿で、恩師を安心させられるまでに成長した。

 「守備も打撃も課題はいっぱいある。今日のような接戦でも試合に出続けて勝ちに貢献することが目標です」

 2点優勢の8回守備から交代。喜びとほんの少しの悔しさを残したデビュー戦だった。 (河合 洋介)

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