乱闘後の後味悪い空気吹き飛ばした ティモンディの爽やかな涙

[ 2020年10月7日 09:00 ]

始球式で感極まり涙するティモンディの前田(手前)と高岸(撮影・会津 智海)
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 実直な人柄を表すような爽やかな涙に、心打たれた人も多かったようだ。「松山DAY」として開催された4日のヤクルト―広島戦(神宮)。始球式を務めたのは、愛媛県松山市の済美高校出身のお笑い芸人「ティモンディ」の2人であった。

 投手役を務めた高岸宏行は高校時代にプロ注目選手の一人だった。当時は最速147キロを誇り、実際に育成枠での獲得を検討した球団もあったという。相方の前田裕太も高校通算16本塁打を誇った強打者だった。

 プロ野球での始球式は初めて。コロナ禍で観客数に上限があるとはいえ、1万1873人が見守る中で、夢にまで見ていたマウンドに向かう途中、高岸の目からは大粒の涙があふれた。捕手を務めた前田も思いは同じ。マスク越しに何度も涙を拭っていた。

 芸人としてデビュー後も身体を鍛え、最速150キロをマークしたこともある高岸だが、注目の球速は138キロにとどまった。球速が表示され、残念そうに頭を抱えた2人に対し、スタンドからは涙を流した登板前に続き、2度目の温かい拍手が注がれた。

 「野球ファンの方もそうですし、松山からの声も届いているような気がした。泣いちゃって力は抜けましたが、その中でも心の170キロは出せたと思います。今の僕のフルパワーは出せました」。始球式後、SNS上には「ティモンディの涙にもらい泣きした」「本当に野球が好きな人の始球式っていいね」などと、共感するコメントがあふれていた。

 前日の神宮球場ではヤクルト・青木への死球をきっかけに、広島側から連続死球を促すようなヤジがあり、乱闘騒ぎが起きていた。子どもの姿が多かった土曜の球場に後味の悪さが残ったが、一夜明けた日曜の夜は、そんな空気を吹き飛ばすような2人の涙に多くの人が胸を熱くした。(記者コラム・川手 達矢)

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