“新応援スタイル”京セラDに響くオリックス大下のうなり声 若手台頭…チームに変化の兆し

[ 2020年9月23日 09:00 ]

オリックスの大下
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 政府の大規模イベントの入場制限が今月19日、集客上限が各球場の収容人数の50%に緩和された。7月10日から5000人を上限に興行を続けてきたプロ野球は、各球団の判断で段階的に入場者数を増やす。オリックスの本拠地、京セラドーム大阪はプロ野球の最大観戦数3万6220人で、9月中は30%(1万800人)とする方針。取材した19日の西武戦は、8594人が来場。声援を控えるなど新応援スタイルは継続する場内に降り注ぐ拍手は厚みを増した。

 そんな中、約1万人のファンが集まった球場で、それでも一際大きく特徴的な“うなり声”が響く。かすれ気味で良く聞き取れないけど「っしゃー、いこう!」みたいな言葉だと思う。ベンチから、内野から。本人が打席に立つ時を除き、ほぼ常に声を出してチームを鼓舞。今月14日に支配下登録された大下誠一郎外野手(21)だ。

 白鴎大から昨年の育成ドラフト6位で入団。今年2月の春季キャンプの時点で、頭角を現していた。2軍グラウンドで大きな声を張り上げる姿勢がチーム内で話題になり、1軍に合流して練習参加。九州なまりも魅力で、「人一倍、声を出すのが自分の持ち味」と話す姿が印象深かった。

 白鴎大では阪神・大山の3学年後輩。打撃練習など常に一緒だった。今年1月のこと。「年末年始に(大山)悠輔さんと一緒に大学で練習しました。“プロは投手(のレベル)が違うから”とアドバイスをもらった。自分は悠輔さんよりも勝負強いです。チャンスが好きなんです。そういった部分を出したいです」と話していた。すると、16日の楽天戦で初スタメン初打席で初アーチ。育成ドラフトで入団した選手ではプロ野球史上初。いきなり快挙達成の「勝負強さ」に心底、驚いた。

 見慣れない光景にも驚かされた。18日の西武戦。昨季、最高勝率のタイトルを獲得した山岡が、ようやく今季初勝利を挙げた瞬間。“故障離脱でチームに迷惑をかけたと思っているだろうから硬い表情で中嶋監督代行と握手するのかなあ”。そんな風に考えていたから。すると、大下が一番最初に山岡に近寄ってガッチリ握手し肩を組んだ。支配下登録されたばかりの新人が、いきなりエースと肩を組む場面は、なかなかない。しかも見た目とは逆で山岡が1歳年上。ヒーローインタビューで表情を崩さなかった山岡を笑顔にさせたのは、大下だった。

 中嶋監督代行は、「大下は週末は疲れて声が枯れてくるんでね、アメ(が必要)です」と笑う。20日の西武戦では、大下だけではなかった。スタメン野手全員が10~20代だった宜保、太田の19歳二遊間コンビが躍動し新戦力の台頭を予感させた。オリックスに確実に変化の兆しが見え始めている。(記者コラム・湯澤 涼)

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2020年9月23日のニュース