大船渡・佐々木、新スタイルで3回零封 「4、5割」の力で最速140キロ

[ 2019年5月4日 05:30 ]

春季岩手大会沿岸南地区予選   大船渡17―2住田 ( 2019年5月3日    釜石市・平田運動公園 )

3回無失点の大船渡先発・佐々木(撮影・島崎忠彦)
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 「令和の怪物」がニュースタイルで新時代に船出した。今秋ドラフトの超目玉、大船渡・佐々木朗希投手(3年)が3日、春季岩手県大会沿岸南地区予選で住田との準決勝に先発。最速163キロの剛球を封印し、3回を1安打4奪三振無失点でチームを5回コールド勝ちに導いた。骨密度を測定したデータに基づき、球速を抑える投球スタイルで新時代の「佐々木フィーバー」が始まった。

 力感なく、なめらかなフォームから白球が糸を引く。待望の163キロはない。それでも、開場以来最多の約2800人で埋まった平田運動公園野球場の空気を支配した。圧倒的な存在感。それこそが佐々木だった。

 「コントロールを意識して、変化球も試しながらできた。配球、緩急と今までできなかったいろんな引き出しもできたと思う」

 ネット裏。最速はソフトバンクのスピードガンで139キロ、メジャー球団のものでも87マイル(約140キロ)だったが、佐々木の表情には満足感さえ漂う。「勝つことができてよかった。チームもいい形で点が取れ、自分自身も無失点で抑えられた」。今年初、令和初の公式戦で投じた39球に新スタイルが凝縮されていた。

 初回。先頭打者を直球3球で追い込み、123キロのチェンジアップで空振り三振に斬った。次打者もスライダーで空振り三振。直球を制球重視でコーナーに投げ、変化球でタイミングを外す。100キロ台の緩いカーブも多投し、緩急をつけた。3回の唯一の安打も「自分のコントロールミス」だった。

 新たな投球スタイル。その訳を国保陽平監督が説明した。佐々木は4月中旬に骨密度を測定。結果は「(160キロ超の)球速に耐えられる骨、筋肉、じん帯、関節でなかった。本人も理解し、そういう(この日の)投球ができた」。先のU―18高校日本代表候補合宿で計測した驚異の163キロは「周りのレベルが高くて出ちゃった」という。筑波大出身で米独立リーグの経験もある国保監督だから、佐々木の将来まで考えて球速追求を封印。「自分の感覚を大切にプレーしろ」とアドバイスを送った。

 佐々木にもわだかまりはない。「まだまだ体が成長しきっていない。(制球重視は)自分にできること、チームが勝つため」。冬場に下半身を鍛えた成果もあり、球速を落としても「軸がしっかり投げられた」とバランスは崩れなかった。

 163キロを10割とすれば「4、5割」だという。春の県大会出場は決めた。そして連戦の夏を見据え、さらにその先へ――。「令和の怪物」は、山あいの小さな球場から新たな物語をスタートさせた。(秋村 誠人)

 ▽骨密度 カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が、骨にどれくらい含まれるかの指標となる。一度失われた骨量を取り戻すことは難しく、成長期に骨を育て、運動や適切な食事によって維持することが重要とされる。

 ▼横浜南共済病院整形外科スポーツ整形外科・山崎哲也部長 スポーツ選手の骨密度を測ってデータを取ることはないので骨密度は分かりませんが、まだ成長過程で成長軟骨(骨端線)が残っているのかもしれません。高校3年生で成長軟骨が残っていることは普通ないのですが、上背のある選手は高校卒業後も成長するケースがあります。

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