【スポーツクライミング】楢崎 得意の種目で響いた2つの誤算―尾川とも子の目

[ 2021年8月6日 05:30 ]

東京五輪第14日 スポーツクライミング男子複合決勝 ( 2021年8月5日    青海アーバンスポーツパーク )

スポーツクライミング男子複合決勝に挑んだ楢崎智亜(AP)
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 スポーツクライミングの男子複合決勝に挑んだ楢崎智亜選手は、残念な形でメダルを逃してしまいました。

 第1種目のスピードで1位を目前にしながら、まさかの失敗。決勝に残った8人の中で唯一、この種目を専門とした選手が負傷で棄権し、普段通りの力を出せば1位という最後のレースでミスをしました。スタート直後のホールドに左足を置き切れないまま足を滑らせて大きくロス。もう少し上がるべき太腿の位置が低く、早く登ろうと上への意識が強すぎたのかもしれません。

 滑ったのはホールドを1つ飛ばして直線的な動きでゴールを目指し、タイムを短縮するために彼が編み出した「トモア・スキップ」を使う箇所。今では世界のスタンダードになった革新的な技で、結果的にあそこで1位を取っていれば金メダルだっただけに痛恨でした。

 もう1つの誤算はこれも得意のボルダリング。第2課題を1人だけクリアしたコールマン選手(米国)に差をつけられて3位に終わりました。コールマン選手はみんなが苦戦していたゴール手前のホールドで1メートル80の体格を駆使。膝とつま先を押しつける「ニーバー」という技を使いました。下半身を固定することで片手を離し、腕の負荷を軽減。そこからホールド上部のいい位置に手を動かし、腕を伸ばすことでゴールまで届きました。しかし、楢崎選手は体のサイズが合わず、ニーバーを使用することなく、十分な態勢を築けないままゴールに向かって落下。ここで完登できていればメダルに手が届いたはずです。(プロクライマー)

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