苦しい時期に川井の母・初江さんが送った言葉「無理に練習に行く必要はない」、梨紗子の金の裏に家族の支え

[ 2021年8月6日 05:30 ]

東京五輪第14日 レスリング女子57キロ級決勝   川井梨紗子5ー0クラチキナ ( 2021年8月5日    幕張メッセ )

妹・友香子に続き姉の川井梨紗子が女子レスリングで金メダルを獲得し、涙をぬぐいながら取材に応じる父孝人さんと母初江さん
Photo By 共同

 家族の絶妙な距離感が、川井梨紗子の支えになった。伊調に敗れマットに立つことができなかった期間、母には毎日のように「今日の練習どうしよう」と連絡が来ていた。「無理に行く必要はない」「友香子の練習を見るだけでもいいよ」。初江さんは娘の気持ちに寄り添い、妹の友香子も「自分が一生懸命やっているところを見せるしかない」と背中で思いを示して姉が戻ってくる日を待った。

 母に指導された幼少期は他の子供以上に厳しくされた。初江さんは「自分の子供ばっかり見ている」と思われないように振る舞い、梨紗子は「何で見てくれないの」と不満を何度ももらした。そんな時は、自宅に帰ってから父・孝人さんが「コンビニ行きたいんだよな、梨紗子ちょっとついてきて」と外に連れ出し、車の中で話を聞いてあげた。

 気持ちの浮き沈みを姉妹で励まし合ったコロナ下は、両親とのたわいもないテレビ電話が救いだった。試合前に必ず取る母のミルクティーとおにぎりにこの日もパワーをもらい、家族の存在を近くに感じて勝ち切った。

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2021年8月6日のニュース