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スポクラ野中 日本新連発「スピード」で勢いつけばチャンス 尾川とも子さんが語るメダル争いの行方

[ 2021年8月6日 05:30 ]

スポーツクライミング女子複合予選で3位となった野中(AP)
Photo By AP

 今大会から採用されたスポーツクライミングは6日、3種目の複合で争う女子決勝が行われる。予選3位通過の野中生萌(24=XFLAG)、4位の野口啓代(32=TEAM au)にメダル獲得の期待が懸かる中、プロクライマーの尾川とも子さん(43)に見どころを聞いた。

 金メダル争いは19年にW杯6戦を完全制覇したガルンブレトが軸になります。無敵の女王に挑む日本の2人は、得意種目でどれだけ上位に食い込めるか。3種目の順位を掛け合わせたポイントの少なさを競う複合は、50点以下に抑えることが3位に入る目安。決勝は8人で行われるので、どれか1種目でも1位になれば、残る2種目が7位でも49点になります。それほど「1」という数字は大きな意味を持ちます。

 最初に行われる「スピード」は野口にとって鍵を握る種目になります。技と経験に裏打ちされたクライミングは2種目目の「ボルダリング」と3種目目の「リード」で、より力を発揮しますが、文字通り速さを競うスピードは課題の種目です。タイムを競う予選と違って決勝はトーナメント。実力が拮抗(きっこう)する初戦の相手に負けて5位以下になるのは避けないといけません。

 運動能力が高く、パワーがある野中は予選のスピードで自身が持つ日本記録を2本続けて更新。本職とする選手もいる種目で20人中4位に入り決勝でも勢いをつけてボルダリングにつなげられれば最高です。ただ、右手首の負傷が響いたのか、得意の第2種目で予選は苦戦。決勝もホールド(突起物)の位置が右手首をひねったり、下向きに持ったりするような設定になれば影響が出るかもしれません。予選では得意ではないリードで3位に入って踏みとどまりました。

 五輪でスポーツクライミングを初めてご覧になられる方もいらっしゃると思います。ゴールは一つですが、アプローチの仕方は人それぞれ。自分のリーチや体の柔軟性、身長に合わせて読み解いていく。ホールドの配置がパズルのようになっていて謎解きをしてようやく登れるわけです。

 初めて観戦される方は画面越しに選手の表情や息遣いを感じて声援を送り、経験がある方は自分ならどう登るか考えるのも楽しみ方の一つ。経験が豊富な野口はアイデアの引き出しも多く、複数の課題(コース)に挑むボルダリングでは予選の第4課題で他の選手と違うアプローチを見せ、最初のトライでクリアする“一撃”で突破していました。

 五輪競技に採用されたことで注目度も高まり、日本にも3年後のパリ大会を狙う10代の若い有望選手がたくさんいます。野口は東京五輪を最後に引退する方針で、野中もうかうかしていられません。2人にはメダル獲得の大きなチャンス。悔いを残さないよう全力を出し切ってほしいと願っています。

 ◇尾川 とも子(おがわ・ともこ)1978年(昭53)4月14日生まれ、愛知県田原市出身の43歳。早大在学時の00年からクライミングを始める。競技歴3年でアジアのトップクライマーとなり、08年に日本人女性初となる難度V12を達成。12年に世界で女性初となるV14を達成し、「ゴールデン・ピトン賞」を日本人女性で初受賞。現在はスポーツクライミング解説者、東京オリンピック支援事業講師、NHK講師。2児の母。

 ▽スポーツクライミング複合 スピード、ボルダリング、リードの順で3種目を行い、全順位を掛け合わせたポイントの少ない選手が上位。スピードはホールドの位置が統一基準で定められ、高さ15メートルの壁を登る。予選はタイムを競い、決勝は1対1のトーナメント。ボルダリングは5メートル以下の壁にさまざまな形のホールドが設置され、複数の課題で完登数を競う。リードは命綱を使いながら12メートル以上の壁を登り、時間内に到達した高さを競う。

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