二刀流ボーダー歩夢 視線は半年後…雪上で雪辱へ 冬夏出場も14位予選敗退でメダル届かず

[ 2021年8月6日 05:30 ]

東京五輪第14日 スケートボード ( 2021年8月5日    青海アーバンスポーツパーク )

東京の街を向こうにトリックを決める平野歩夢(撮影・北條 貴史)
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 男子パークは冬季五輪スノーボードハーフパイプ(HP)で2大会連続銀メダリストの平野歩夢(22=TOKIOインカラミ)が予選で62・03点の14位となり、上位8人による決勝進出を逃した。18年秋にスケートボードでの五輪挑戦を表明し、日本史上5人目となる夏冬両五輪出場。二刀流の挑戦に一区切りをつけ、3大会連続メダル獲得が懸かる約半年後の北京冬季五輪に向かう。

 決勝進出を懸けた最後の試技は失敗に終わったが、平野は晴れやかな顔つきで拍手にボードを掲げて応じた。「悔いはない。この場を楽しめたというのが素直な気持ち。スケートボードの場が確実に今の自分を強くさせてくれた」。

 驚異的な成長を見せたが、世界の壁は高かった。2回目には空中で板を回転させて手でつかむ「キックフリップ・インディー」や高さのある1回転半技「マックツイスト」などノーミスで披露。「高さや回しはスノボーをやってきた側として唯一武器にしないといけない部分。最大限に生かせた」と納得の表情だった。

 18年秋のスケートボード挑戦から「似ているようでかけ離れているスポーツ」に苦戦する一方、スノーボードでは若手が台頭。五輪延期で北京までの期間は半年となり、3大会連続メダルの道も険しくなった。それでも覚悟の上で「結果よりも先にあるもの」を求め続けた。

 会場には冬季五輪2大会連続で激闘を繰り広げたショーン・ホワイト(米国)の姿もあった。スケートボード挑戦を断念したライバルに見せつけたのは、そのスピリット。「スノボーだけの時は負けられない気持ちと戦い続けていたけど、スケボーで初心を学んだ。それが生きてくれば」。忘れかけていた楽しむ気持ちを持って、雪上へと向かう。「半年でどこまでやれるか、またチャレンジだと思う」。二刀流の物語は、これから本当の最終章に突入する。

 ◇平野 歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日生まれ、新潟県村上市出身の22歳。父・英功さんが地元でスケートパークを運営しており、4歳からスケートボードとスノーボードを始める。開志国際高―日大。14年ソチ、18年平昌五輪HP銀メダル。トッププロが集まる冬季Xゲームでは16年、18年優勝。1メートル60、50キロ。

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