バッハ会長が東京五輪総括「コロナ対策はうまくいった」「感染拡大への間接的影響もない」

[ 2021年8月6日 17:35 ]

IOCのバッハ会長(AP)
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 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が7日、東京・有明のメーンプレスセンターで、東京五輪の総括会見を開いた。

 バッハ会長は無観客が決まった際に「魂のない大会になるのではと思った」と明かした上で「アスリートたちが今大会に素晴らしい魂を吹き込んでくれた」とコメント。新型コロナウイルスの感染拡大で練習や試合経験が十分でない中でも世界記録や五輪記録が出たとし、「驚くほどレベルの高い大会だった」とパフォーマンスを評価した。

 開催にあたっては「都民や日本国民、日本政府、東京都、組織委員会の方々にお礼を申し上げたい。素晴らしいパートナーだった」と感謝。日本国民が大会を支えてくれた証拠として「10人のうち9人は少なくとも大会の一部を(テレビなどで)見ている」とのデータを披露し、「日曜日の閉会式まで気を抜かずにやれば大会は大成功だったと言える」との見解を示した。競技会場やボランティアを素晴らしいと称え、「今大会は個人的に期待値を大きく上回るものだった」と絶賛した。

 無観客開催により今大会の赤字は決定的で、質疑応答ではIOCが開催都市に負担をかけすぎているとの指摘があった。しかし、バッハ会長は「資金が投入された競技会場は国民や都民が何世代にもわたり恩恵を受けられる。選手村も何十年も住宅として活用できるのでコストと言えないし、スポーツ施設も同じことが言える」と主張。「中止になっていたら、これらの投資が実りのないものになっていた」とし、「IOCにとっては中止が最も簡単な解決策だった。当時あった保険を活用できて、金がかからなかったかもしれないからだ。だが、我々はアスリートのために大会を実現しようと8億ドルを拠出した。アスリートに舞台を与えようと考え、日本や東京にも輝く機会を差し上げたいと思った」と開催の正当性を訴えた。

 コロナ対策では大会組織委員会が示しているデータどおり、陽性率は入国検査で0・08%、大会関係者へのスクリーニング検査で0・02%に過ぎないと披露し、「コロナ対策はうまくいった」ときっぱり。五輪開催は間接的に東京都などの感染拡大に影響があるとの医療関係者の声を紹介したメディアに対し、「主張を裏付ける数字を少なくとも私は承知していない。菅首相も小池都知事も影響はないとはっきり言っている」と取り合わなかった。

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2021年8月6日のニュース