堀米の金メダル獲得支えた 父・亮太さんの“英才基礎教育”

[ 2021年7月26日 05:30 ]

東京五輪3日目 スケートボード男子ストリート ( 2021年7月25日    有明アーバンスポーツパーク )

堀米の決勝での演技(撮影・会津 智海)
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 堀米の強さは父の経験に基づいた英才教育にある。「最初は雄斗にスケートボードをやらせるという口実で自分が滑りに行っていたんですよ」。懐かしそうに振り返る亮太さんは、息子に夢を託すと決めた時から徹底的に基礎を叩き込んだ。

 スポンサーからサポートを受けるため、当時も小さいうちから大会に出場させる親は多かったが、堀米は競技を始めた6歳から約2年間、試合と無縁。その方針は亮太さんの後悔から来ている。「(自分は)基礎を無視して技を覚えてしまった」。「中途半端な乗り方」で、成長を止めた。同じ轍(てつ)を踏ませたくなかった。

 小学校卒業まではバーチカルランプと呼ばれる半円状の斜面を滑る練習のみ。目的はストリートに必要な脚力と、エアに対する恐怖心の克服。よく通った足立区のパーク設備は表面が古く、横滑りしやすかった。「常に良いところに乗っていないとツルンといっちゃう」と亮太さん。ぶれない軸が養われた。

 ストリートの練習はさせない一方で、片足で地面を蹴って前進するプッシュで街中を移動させた。「おまわりさんに怒られちゃうけど街中で乗ることが一番」と理由を語る。

 タクシー運転手をしながら全てを教え、不景気では仕事後に車を洗うアルバイトで手をあかぎれだらけにして稼いだお金でサポートした息子は、中学で手を離れた。この日の活躍は「心臓が持たないし性に合わない」とリアルタイムでは見なかったが、「よくやった。もう別世界の人間みたいだよ」と誰よりも喜んだ。

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2021年7月26日のニュース