石川佳純 9年ぶり五輪シングルス1勝! リオの“屈辱の記憶”よぎるも…「経験生きた」

[ 2021年7月26日 21:20 ]

女子シングルス3回戦で勝利し、喜ぶ石川佳純(AP)
Photo By AP

 女子シングルス3回戦などが行われ、第5シードで世界ランク10位の石川佳純(28=全農)が初戦で同88位のオラワン・パラナン(23=タイ)を4―2で退け、五輪では12年ロンドン以来9年ぶりのシングルス1勝を挙げた。27日の4回戦で同17位のソフィア・ポルカノバ(26=オーストリア)と対戦する。

 日本選手団副主将も務める石川が日本卓球女子の先陣を切った。東南アジア大会ダブルス女王のオラワンの強打にてこずり、初戦敗退した16年リオデジャネイロ五輪の嫌な記憶もよぎったが「リオのときと同じで苦しい展開だったが、5年前の経験が生きた」。勝利の瞬間にはまるで優勝したかのように両手を突き上げ、満面の笑みがこぼれた。

 3度目の五輪出場でも初戦特有の緊張感が石川の動きを硬くした。「なかなか思ったように試合を進められず、相手も良いプレーをして押され気味だった」と心境を明かした。

 ゲームを奪われて2―2で迎えた第5ゲーム。何度も自分に言い聞かせるようにうなずき、冷静さを取り戻した。「そこから自分のプレーを盛り返していけた」。バックの打ち合いでも負けることなく6連続得点でゲームを奪うと、第6ゲームもリズムを渡すことなく9年ぶりの五輪1勝を喜んだ。

 全日本女王のプライドを胸に五輪を戦っている。今年の全日本選手権では世界ランク2位の伊藤美誠(20=スターツ)との東京五輪シングルス代表同士の一戦を制して16年大会以来、5年ぶりに優勝して復活を印象付けた。一時は若手選手の台頭の前に勝てないと思ったこともあったが、東京五輪の存在が石川を突き動かした。

 「卓球を20年やってきて、私にとっては最高の舞台が東京五輪。頑張り続けるしかないと思っています」と、ここまで努力を積み重ねてきた。今大会を集大成と位置付けるベテランは1勝だけで満足するはずはない。「また試合ができる。しっかり準備して良いプレーをしたい」とシングルスで自身初のメダル獲得に向け、力強く語った。

 <石川佳純の五輪>
 ☆12年ロンドン大会 19歳で五輪初出場。シングルスで日本勢初の準決勝進出を果たしたが、3位決定戦でフェン・ティアンウェイ(シンガポール)に0―4で敗れメダルを逃した。団体準決勝ではシンガポール相手にシングルスとダブルスで出場し、ともに3―0と圧勝。決勝で中国に敗れたものの、日本卓球初メダルとなる銀メダル獲得に貢献した。

 ☆16年リオ大会 シングルス初戦となった3回戦でカット型のキム・ソンイ(北朝鮮)に1時間4分の激闘の末、3―4で敗れた。3―2で迎えた第6ゲームに右ふくらはぎをつったことが響き、無念の敗退。団体準決勝ではドイツを相手にシングルスで2勝を挙げたが、チームは2―3で敗戦。シンガポールとの3位決定戦でシングルスでストレート勝ちし、自身団体戦全勝で銅メダル獲得に貢献した。

続きを表示

この記事のフォト

2021年7月26日のニュース