【優勝インタビュー】連覇の大野将平「“自分は何者なのか”と証明する戦いができた」

[ 2021年7月26日 20:42 ]

東京五輪第4日 柔道男子73キロ級 ( 2021年7月26日    日本武道館 )

<東京五輪・柔道柔道男子73キロ級>金メダルの大野将平は堂々とマットを引き揚げる(撮影・小海途 良幹)
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 柔道男子73キロ級の大野将平(29=旭化成)が、決勝戦でシャフダトゥアシビリ(ジョージア)を破り、金メダルに輝いた。16年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得し、今回の柔道代表では唯一となる五輪2連覇を達成。日本選手では、斉藤仁、野村忠宏(3連覇)、谷(田村)亮子、内柴正人、谷本歩実、上野雅恵に次ぐ7人目の快挙となった。

 激戦を振り返った大野が、優勝インタビューに臨んだ。

 ―決勝は死闘だった。
 「リオデジャネイロ五輪を終えて、苦しくて、つらい日々を凝縮したような、そんな一日の戦いでした」

 ―最後は、天井を見ていた。
 「私も29歳となって、ベテランと呼ばれるところまで来た。この柔道の聖地、日本武道館で試合できることも少なくなってきていると自分自身で理解していたので、この景色を目に焼き付けておこうと思って、天井を見ました」

 ―強かった。
 「自分の中で本当に悲観的な思いしかなくて、不安でいっぱいで、昨年から過ごしていた。この一日で報われたとは思っていませんし、まだ私の柔道人生は続いていくので、今後もやはり自分を倒す稽古を継続してやっていきたい」

 ―美しい日本の柔道にこだわった5試合だった。
 「後半は厳しい戦いが続いて、五輪という場で理想を体現することの難しさを感じましたし、私自身まだまだだな、と思いました」

 ―再び日本武道館で五輪が行われた。
 「私自身、柔道人生を歩んできた道が『講道学舎』で、前回の東京五輪と非常に縁があって、運命を感じることのできる柔道人生だったので、それは一番のモチベーションであって、1年延期というのも乗り越えて、きょうまでやってこられたと思います」

 ―ファンに金メダルの報告を。
 「賛否両論あることは理解しています。ですが、我々アスリートの姿を見て、何か心が動く瞬間があれば、本当に光栄に思います。まだ、混合団体がありますので、それまで気を引き締めて取り組みたいと思います」

 ―リオ五輪と金メダルの感じ方は違うか。
 「子供のころ、好きで始めた柔道がリオ以降は嫌いになって、何のために稽古をやっているのだろうと自問自答する日々でした。この大会も“自分は何者なのか”ということを確かめるため、証明するために戦うことができました」

 ―日本武道館で、君が代を聞いた。
 「身近に複数の金メダルを獲っておられる方々がたくさんいらっしゃいますので、自分なんか、まだまだだなという思いの方が強いです」

 ―井上監督と抱き合った。今朝はどんな話を。
 「一言です。平常心と、それだけで戦いました」

 ―最後は気持ちだった。
 「準決勝、決勝と延長戦で、自分の中でも感じたことのない恐怖の中で戦っていましたし、その中で勝ちを拾ってこれたのは、何か実力以外の部分もあったのかな、と感じてしまいます」

 ―金メダルは、誰に見せたいか。
「母親には電話できたのですが、親に見せたいですし、これから柔道を志す子供たちに何か勇気を与えるものなら、うれしく思います」

 ―子供たちにメッセージは。
 「やはり柔道という競技。私も一年半ぶりぐらいですね。柔道の試合に出て、改めてきついな、しんどいな、と感じました。でも、そのつらさ苦しさを乗り越えた先に、何か学べるものがある。日々の稽古を頑張ってほしいです」

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