「虎に翼」仲野太賀 寅子との最後のデート場面「思い出すだけでも辛い」

[ 2024年5月24日 08:15 ]

河原で寅子(伊藤沙莉)と話す優三(仲野太賀)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「虎に翼」で主人公・佐田(猪爪)寅子(伊藤沙莉)の夫・佐田優三を演じる俳優の仲野太賀(31)が各メディアの取材に応じ、2013年の「あまちゃん」以来11年ぶりの朝ドラ出演の思いなどを明かした。

 ──11年ぶりに臨んだ朝ドラの現場の印象は?
 「前回はほんの少しの出演(アシスタントディレクター役)でしたが、今回はガッチリ参加できてとてもうれしいです。前回の頃は20歳そこそこで、右も左も分からず、ただがむしゃらにやっていました。それから約10年、いろんな作品に参加させていただいて、今は頭は冷静、心は熱く現場と向き合えていると思います」

 ──撮影現場で「朝ドラらしさ」を感じる部分は?
 「1週間で撮影する分量が多く、そこに朝ドラの大変さを感じます。撮影期間が長く、一つの役にじっくり向き合えて自分の中で役を育てていく感覚は朝ドラならではのものだと思います。一緒に作品を作って行く仲間としてスタッフ、キャストが本当に温かく、1週間の最後のシーンを撮り終えた時にみんなで『お疲れさまでした』と言って拍手する雰囲気がとても好きです。沙莉ちゃんを中心に、このチームで朝ドラを盛り上げていくんだという良い空気を感じます」

 ──ドラマ「拾われた男」(2022年)以来2回目の共演となった沙莉さんの印象は?
 「沙莉ちゃんとは、あうんの呼吸があると思います。コンビネーションが良くて、とても芝居がしやすい。打ち合わせをしなくても、こちらがどんな表現をしても、受け入れてくれます。夫婦役なので、知らない相手だと芝居がぎこちなくなってしまうこともありますが、沙莉ちゃんならば思い切り飛び込めます。隣にいるだけで安心で、絶大な信頼を寄せています」

 ──沙莉さんの座長ぶりは?
 「現場でのたたずまいは尊敬の一言です。朝ドラのヒロインは大変だと思いますが、沙莉ちゃんにはこれまでの経験があるので、ちゃんと地に足がついているように感じます。いろんな人に気を使いながらも、気を使いすぎていなくて、自分が思ったことを割と素直に口にしています。それが現場の風通しの良さにつながっていると思います。気負わない沙莉ちゃんが真ん中にいると、スタッフ、キャストもそんなに気張らなくてもいいんだという気持ちになって、リラックスして現場にいられます。誰もが沙莉ちゃんのことを好きだと思います」

 ──佐田優三の役作りは?
 「優三が持つ柔和な空気感、温かい空気感を大事にしたいと思いました。寅ちゃんがまっすぐに物事に向き合っていく人物なので、それと対照的な頼りない面もありつつ、彼の中にある太い芯を表現できたらいいなと思いました」

 ──ご自身との共通点、相違点は?
 「夢に向かってひたむきに進む姿は近いと思います。でも、僕は優三ほど柔和じゃありません。どちらかと言うと学校のクラスの中でも騒がしい方だった人間なので、そういう点では違うと思います」

 ──印象深いシーンは?
 「優三が出征前、思い出深い河原で寅ちゃんと最後のデートをするシーンです。あのシーンで優三は寅ちゃんに、誰かのために頑張るのだからこそ自分自身を大事にしてほしいという思いを伝えます。そんなことが言える優三は優しい人です。その優しさが伝わるシーンになればいいと思って、心を込めて演じました。でも、あのシーンはいま思い出すだけでも辛い。脚本を読んだ時、悲しすぎて読み進めなくなったほどでした。そんな経験はこれまでにありません。素敵な脚本に出合えて良かったと思います」

 ──視聴者へのメッセージを。
 「このドラマは現代に通じる、女性の社会進出を描いています。この時代は女性が社会に出て活躍することが難しく、女性たちのため息のような言葉がセリフに落とし込まれています。法の世界を目指す女性の物語と言うと堅い印象を受けるでしょうが、寅ちゃんや猪爪家のキャラクターが豊かで、ユーモアに満ちています。さまざまな思いを背負った寅ちゃんの生きざまが皆さんの胸に響くと思います。一生懸命頑張る寅ちゃんの姿を最後まで見届けていただきたいです」

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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