「鎌倉殿の13人」蒲殿ロス広がる 迫田孝也「真田丸」から続く大泉洋への信頼 迷った政子への“一言”

[ 2022年6月19日 20:45 ]

「鎌倉殿の13人」源範頼役・迫田孝也インタビュー(上)

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第24話。「もう結構にございます」と身を引いた源範頼(迫田孝也)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は19日、第24回が放送され、俳優の迫田孝也(45)が好演してきた源範頼の最期が描かれた。今作随一の“いい人”として、ドラマ中盤を牽引。オンエア終了後、SNS上には悲しみの声があふれ返り、瞬く間に「蒲殿ロス」が広がった。迫田にラスト回の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第24回は「変わらぬ人」。源頼朝(大泉洋)と万寿(金子大地)が「富士の巻狩り」を終えて無事に戻り、喜ぶ政子(小池栄子)。しかし、頼朝は自身に代わって鎌倉殿の座に就こうとした弟・範頼(迫田孝也)を許さず、余波が鎌倉を揺るがし…という展開。

 範頼は起請文を書き、身の潔白を訴えたが、頼朝は厳しく詮議。さらに大江広元(栗原英雄)が起請文の文面に難癖をつけ、範頼は「もう結構にございます」と自ら身を引いた。そこへ比企尼(草笛光子)が現れ、頼朝を叱責。範頼は死罪を免れ、伊豆・修善寺に幽閉、謹慎となった。

 大姫(南沙良)は巴御前(秋元才加)に励まされ、入内を決意。しかし、丹後局(鈴木京香)の洗礼に萎縮。寝所から抜け出し、雨に打たれると高熱を発し、鎌倉に帰った後も体調は悪化。「私は、私の好きに生きてもいいのですか。好きに生きるということは、好きに死ぬということ。死ぬのはちっとも怖くないのだって、死ねば義高殿に会えるんですもの。楽しみで仕方ない」。母に見守られ、20歳の生涯を閉じた。

 大姫の病死は範頼の呪詛が原因だと思い込み、頼朝は怒りに震える。村人と畑仕事中の範頼を善児(梶原善)が襲った。

 前回第23回(6月12日)、「富士の巻狩り」の最中に起こった「曽我事件」。頼朝が討たれたとの一報に、留守を預かる範頼が「御台所、鎌倉は私がお守りいたす。万一のため、逃げられる支度だけはしておいていただきたい」と口にした。史書「保暦間記」には、範頼が「後には、それがしが控えておりまする」と政子を励ましたが、謀反の疑いをかけられた発端とある。

 「この“鎌倉は私がお守りいたす”という台詞をどう言おうか、悩みました。野心を込めるのかどうか、兄がつくった鎌倉幕府を陰ながら支えていきますというニュアンスなのか。結果的には純粋に鎌倉を守りたいという気持ちを乗せたんですが、なら、どうして野心がないのに、そんなことを言ったのか。修善寺で時政さんと“背伸びしすぎていた”“分不相応”という話をしたことにつながりますが、何か一つの決意として言ったものの、その裏付けや自信がないし…本当に自分に跡が継げるのかといった迷いや葛藤も含んだ言い回しになりました」

 「真田丸」は迫田が真田家重臣・矢沢三十郎頼幸役、大泉が主人公・真田信繁(堺雅人)の兄・信幸役。真田家の生き残りのため、父・昌幸(草刈正雄)と信繁が豊臣方に、信幸が徳川方に付く決断を下した「犬伏の別れ」。信繁の右腕・三十郎は内通者の役を割り振られ、そのまま信幸の家臣となった。

 今回は源氏の兄弟という役柄ながら、最後は仲違い。範頼と頼朝の対峙シーンは「リハーサルの時、お互い違和感を感じたんでしょうね。すぐに大泉さんが来てくださり、お互い思っていることを伝え合いました。シーンとしては範頼と頼朝の気持ちがすれ違っているんですが、私と大泉さんの関係においては腹の内を全部分かった上で演じているのが面白いといいますか。最終的に範頼は“もう結構にございます”と閉じて兄弟の縁が終わってしまって、つらく苦しいシーンでしたけれども、凄くやり甲斐もありました」と「真田丸」からの信頼関係もにじみ出た。

 「真面目一徹な範頼像が強くありましたが、最後に自分の意見をきちんと兄にぶつけられる姿を用意していただいて、うれしかったですね。三谷さんの範頼というキャラクターの愛し方だと思いました」。映画「ザ・マジックアワー」(08年公開)以来、三谷作品への出演が続くが、今回も恩人に感謝した。

 =インタビュー(下)に続く=

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