小山田圭吾、五輪開会式の楽曲制作担当を辞任「配慮欠けていたと痛感」

[ 2021年7月20日 05:30 ]

小山田圭吾
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 過去の雑誌インタビューでいじめを告白していたミュージシャンの小山田圭吾(52)が19日、東京五輪開会式の楽曲制作担当を辞任した。大会組織委員会が本人の申し出を受理した。小山田は組織委による起用発表後にツイッターなどでいじめを認めて謝罪。「適任ではない」との批判が高まっていたが、組織委はこの日に至っても続投を容認。政府からは適切な対応を迫られていた。五輪開幕まで4日となる中の「ドタバタ辞任劇」。混迷を極めるスポーツの祭典にまたケチがついた格好だ。

 小山田は午後7時すぎにツイッターに投稿し、組織委からの依頼を受けたことについて「さまざまな方への配慮に欠けていたと痛感しております」と謝罪。「皆さまより頂きましたご指摘、ご意見を真摯(しんし)に受け止め、これからの行動や考え方へと反映させていきたいと思っております」などとつづった。

 組織委の武藤敏郎事務総長は投稿から約3時間後に記者会見。本人による「真摯な謝罪と反省の言葉」を受けて、開会式まで時間がない中で現場の意向も踏まえ「続投も許されるかな」と考えたと述懐。「判断が甘かったと深く反省している」と謝罪した。パラリンピックの開会式も担当だったとし「当然、手を引いてもらう」と話した。

 小山田は4人いる作曲家のうちの一人で、オープニングで映像とともに流れる4分間程度の楽曲を担当。これは使用せず、担当者が代替策を検討しているという。

 武藤氏も17日の会見で続投に理解を求めていたが、批判はさらに高まり、海外でも報じられるなど波紋は広がるばかり。加藤勝信官房長官はこの日午前の会見で「全く許されない」といじめや虐待を断罪。「組織委において適切に対応していただきたい」とし、続けざまに「そうした対応を取っていくことが必要」と踏み込んだ。

 一方、組織委の高谷正哲スポークスパーソンは正午ごろの会見で「(長官発言は)承知していない」とし、「(現在の)非常に高い倫理観」を挙げて続投を宣言したが加藤氏は夕方の会見で「組織委において必要な検討がなされていると承知している」とダメ押し。小山田辞任に向けた外堀は確実に埋められていった。

 ◇小山田 圭吾(おやまだ・けいご)1969年(昭44)1月27日生まれ、東京都出身の52歳。89年に音楽バンド「フリッパーズ・ギター」のメンバーとしてデビュー。91年に解散。93年に「Cornelius(コーネリアス)」として活動開始。国内外の多数のアーティストとのコラボレーション、REMIX、プロデュースなども手掛ける。

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2021年7月20日のニュース