山県亮太 未熟児から日本新9秒95! 0.01秒に人生を懸けた男の苦悩した10年間

[ 2021年6月12日 10:00 ]

12日放送の「バース・デイ」では山県が日本新記録の9秒95を打ち立てるまでの苦悩した10年間に迫る(C)TBS
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 陸上男子100メートルで日本記録9秒95を出した山県亮太(29=セイコー)が12日放送のTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)に出演。6日に鳥取市・ヤマタスポーツパーク陸上競技場で行われた布勢スプリントで日本記録を打ち立てるまでの10年間に迫った。

 1992年6月、保育器の中でチューブに繋がれた小さな赤ちゃん。妊娠8カ月の早産で生まれた未熟児で体重はわずか1730グラム。それが山県だった。しかし、29年後の同じ6月に歴史を刻むアスリートとなった。

 山県が9秒台を射程に捉えたのは大学2年生の夏。当時20歳で出場したロンドン五輪の予選で日本歴代4位の10秒07を記録。これで9秒台を出すのは時間の問題だと確信していたが、それ以降4年にわたり9秒台どころか自己新すら更新できなかった。

 すると、当時高校3年生で3歳年下の桐生祥秀(25=日本生命)が日本歴代2位の10秒01を記録。そして桐生は17年9月に日本人初の9秒98という偉業を達成。山県はライバルの活躍に焦りがありながらも、刺激を受けて自己記録を10秒00までタイムを縮めたが、最後の0秒01が届かない。

 山県の課題はレース中盤から後半にかけてのスピードの持続。陸上競技のデータ分析の専門家・野口氏は「レースの後半に入ったところで(スピードの)落ち幅をより少なくできるような方向でいけば、改善の余地はある」と語る。

 0.01秒の壁を越えるため、山県が向かった先は米国のフロリダにあるIMGアカデミー。テニスの錦織圭(31=日清食品)をはじめ、様々なトッププロを輩出する世界有数のアスリート養成機関だ。そこで日本の陸上選手が個人で合宿を行うのは異例だったが、体のブレの改善に取り組んだ。

 レース終盤でペースを乱されない体の軸を意識した走りを取得し、手応えを感じて臨んだ6月6日の「布勢スプリント」で日本新記録となる9秒95をマーク。10年越しの悲願を実現した瞬間だった。山県の次なる目標は東京五輪。24日からの日本選手権は東京五輪出場権の3枠をかけた一発勝負の戦い。そこで9秒台4人が集う熱き戦いへ、山県は闘志を燃やす。

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