17歳10カ月20日 藤井七段 タイトル戦最年少挑戦者に! 

[ 2020年6月5日 05:30 ]

棋聖戦挑戦者決定戦で永瀬2冠に勝利し、感想戦で笑顔を見せる藤井七段(日本将棋連盟提供)
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 藤井がついにタイトル挑戦権を手にした。将棋の第91期棋聖戦決勝トーナメント決勝が4日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、藤井聡太七段(17)が永瀬拓矢2冠=叡王(えいおう)、王座=(27)を下し、8日開幕の5番勝負出場を決めた。タイトル戦初出場となる藤井は8日で17歳10カ月20日。屋敷伸之・現九段(48)が持つタイトル戦出場最年少記録(17歳10カ月24日)を4日更新することになる。

 歴史的瞬間は午後7時44分に訪れた。粘りが身上の永瀬が101手目を指さず駒を投じる。静かに勝利をかみしめる17歳。「タイトルに挑戦することができてうれしく思います。最年少記録は自分としては意識していなかったのですが、結果的にそういう形になって良かった」。淡々と紡ぎ出す言葉の端々に喜びが織り込まれていた。

 対戦相手の永瀬は普段から練習将棋を頻繁に指す深い縁がある。それはお互いが手の内を熟知していることにほかならない。後手番で永瀬の相掛かりをひしと受け止めたが、序盤の新手を見て長考に沈むなど、中盤以降は対応に苦慮する場面も見られた。「自信のない展開になってしまった」。圧を受けながらも、ぎりぎりの均衡状態を保ったまま突入した最終盤。3筋にはっとするような銀を放つ。ここでラストスパートに入るかのようにマスクを外した。

 対応に困ったのは永瀬の方になった。1時間以上も差をつけられていた持ち時間がジワジワと縮まる。そして思わず指した緩手を、藤井は見逃さない。最後の最後、一気に突き放してのフィニッシュだ。

 198日前の屈辱を晴らした。19年11月19日。場所も同じ将棋会館の特別対局室。大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグで4勝1敗同士の対戦となった最終局。最終盤で広瀬章人八段を追い詰めながら、応手を誤って悪夢の逆転負けを喫した。勝っていれば当然ながら屋敷の記録を軽く上回っていた。大魚を逃した藤井だが、最後の更新チャンスだった今回の棋聖戦はその失敗を繰り返すことはなかった。「なかなかタイトル戦という舞台まで行けなかった。一つ前に進めたのかな」。半年の時を経て、天才少年は周囲の予想を超える成長ぶりを見せつけた。

 渡辺明棋聖(36)=王将・棋王との3冠=と激突する5番勝負開幕戦を中3日で迎える。「すぐ開幕なのでしっかり準備したい。1勝でも多く勝てるよう頑張りたい」。次のターゲットは、これも屋敷の持つタイトル獲得史上最年少記録(18歳6カ月)の更新だ。全てのファンが、新たな歴史の目撃者になるはずだ。(我満 晴朗)

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身の17歳。杉本昌隆八段門下。5歳で将棋を始め、小4で奨励会入会。16年10月に史上5人目の中学生、最年少14歳2カ月でプロ入り。公式戦通算173勝32敗、勝率・844。名古屋大付高3年。18年に瀬戸市民栄誉賞を第1号として受賞。

 ▼永瀬拓矢2冠(3筋の銀などの)読んでいない手を指されて、それに対して対応ができなかった。ちょっと思いつかない類いの手だった。

 ▼屋敷伸之九段 藤井聡太七段、タイトル挑戦おめでとうございます。どのような将棋を指すか、楽しみにしています。

 ▽ヒューリック杯棋聖戦 将棋8大タイトル戦の一つ。1962年創設、94年まで年2度開催。現在は1、2次予選を経て16人で決勝トーナメントを戦い、勝者が6~8月に保持者と1日制の5番勝負に臨む。決勝トーナメントと5番勝負の持ち時間は各4時間。
 

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