宅飲みで味わいたいラジオの花火特番

[ 2020年6月5日 13:00 ]

文化放送の「花火特番」の告知ビジュアル
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 【牧 元一の孤人焦点】花火を、聞く。とても不思議だ。花火は基本的に見るもの。音だけの花火なんて知らない。ところが、文化放送は花火を聞かせるという。しかも、2時間にわたって。

 「文化放送 花火大会~打ち上げ花火、下から聴くか?横から聴くか?いやいや!上からの音、中の音だって聴けちゃうスペシャル~」(7日深夜1・30)がその番組。いったい、どんなものだろう?制作途中の音源の一部を聞かせてもらった。

 近くにあったヘッドホンをつけ、さっそくパソコンで再生すると、アナウンサーの番組説明に続き、花火の音が鳴り響いた。想像より迫力がある。映像がない分、聞くことに集中するから、花火の音がより耳に迫ってくるのだろう。

 高音質を楽しむためにヘッドホンまたはイヤホンで聞くことを推奨しているが、どうだろう…。個人的には、自宅のオーディオセットのスピーカーで、そこそこの音量にして、ゆったりとした気分で聞きたい。放送は深夜なので、できれば自分の好きな酒を飲みながら楽しみたいところだ。

 文化放送は昨年12月と今年2月に、たき火の音を高音質で流し続ける「たき火特番」を放送した。以前、ノルウェーのテレビ局がたき火の特番を放送したところ、ほとんど薪が燃えるだけの映像だったにもかかわらず高視聴率を記録したことを知り、挑戦しようと考えたという。

 今年4月には、チャーハンを炒める音を高音質で流し続ける「チャーハン特番」を放送。今回の「花火特番」については「各地の花火大会が相次いで中止になる中、多くの人たちに『上を向き、前向きな気持ちになってもらいたい』という思いを込めた」としている。

 特番は、文化放送が所蔵している花火の音の素材(約60種類)を組み合わせて制作。音声技術スタッフが「3Dオーディオ」の技術を駆使し、花火大会の会場で聞く音だけではなく、花火の上や横、さらには花火の中にいるかのような感覚が味わえる演出もあるという。

 毎年楽しんで来た隅田川花火大会も残念ながら中止。今年は宅飲みでラジオの特番をつまみに、過ぎ去りし日の花火の思い出にひたることにしよう。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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2020年6月5日のニュース