東海大菅生・栄主将 大手術から夢舞台へ「みんなに助けてもらった一年」 安打に母は涙

[ 2021年8月18日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 1回戦   東海大菅生 4―7 大阪桐蔭 ( 2021年8月17日    甲子園 )

<大阪桐蔭・東海大菅生>8回1死、東海大菅生・栄は左前打を放つ(撮影・坂田 高浩)
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 第103回全国高校野球選手権大会の第5日は17日、甲子園球場で1回戦が行われ、4年ぶり出場の東海大菅生(西東京)は8回途中、降雨コールドで3年ぶり出場の大阪桐蔭(大阪)に4―7で敗れた。 

 田んぼのように水が張るグラウンド。黒い雲に覆われた空から大粒の雨。3点を追う8回1死。東海大菅生の栄塁唯(るい)主将(3年)は内角のスライダーを左前に落とす技ありの一打を見せた。次打者・本田峻也(3年)も内野安打で続いたが、32分間の中断の末、降雨コールドゲームで最後の夏が終わった。

 まさかの幕切れに涙する東海大菅生ナイン。だが栄は「自分が泣いたら影響がある」と最後まで主将の顔を貫いた。

 1年秋からスタメン出場した俊足巧打の外野手。昨夏の独自大会で右肘を疲労骨折した。新チームで主将になり「1日でも休んでいたら抜かれてしまう」と手術を拒んだが、若林弘泰監督から「春と夏の甲子園で活躍することを考えろ」と言われ、決断した。

 昨年の9月3日。神奈川県の病院で全身麻酔をして約3時間の大手術。麻酔が切れて肘に激痛が走っても、実家のある愛知県から駆けつけた母・麻美さんには「帰っていいよ」と何事もないように振る舞った。まさに「武士は食わねど高楊枝」である。

 センバツは左翼手で初の甲子園に立ち、今夏は代走から出場し、本職である中堅の守備にもついた。春夏連続出場で甲子園に刻んだ4安打。「みんなに助けてもらった1年でした」と感謝した。

 当初の決勝日だった8月25日は母・麻美さんの47歳の誕生日。「日本一の母ちゃんにするから」の約束は果たせなかったが、三塁側の内野席で観戦した母は「色々なものを乗り越えて、最後にヒットも見せてくれました。やりきったと思います」と涙した。(柳内 遼平)

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