智弁和歌山 4大会連続25度目のV!名将の孫・高嶋奨哉が難敵攻略の口火「甘い球を仕留められた」

[ 2021年7月28日 05:30 ]

全国高校野球選手権和歌山大会 決勝   智弁和歌山4-1市和歌山 ( 2021年7月27日    紀三井寺 )

<智弁和歌山・市和歌山>6回2死満塁、智弁和歌山・高嶋は先制の左前適時打を放つ(投手は市和歌山・小園)(撮影・坂田 高浩)
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 和歌山では智弁和歌山が4大会連続25度目の頂点。高嶋仁名誉監督の孫・奨哉(3年)が先制適時打を放ち、ドラフト上位候補の市和歌山・小園健太(3年)攻略の口火を切った。

 0―0で迎えた6回2死満塁。「7番・三塁」で先発出場した高嶋奨哉が先制の左前適時打を放ち、難敵攻略の口火を切った。勢いづいた打線は同点に追いつかれた直後の7回に2点、8回にも1点を加え、逃げ切った。智弁和歌山の指揮官として甲子園勝利数歴代1位の68勝を挙げた名将を祖父に持つサラブレッド。2年ぶりの夏に存在感を発揮した。

 「どんどん、初球から振っていく意識でした。甘い球を1球で仕留める練習をしてきたのでよかったです」

 6回の打席。初球は空振り、2球目はボールでカウント1―1。ほどけた靴ひもを結ぶ小園を見ながら、ふと思った。「甘い球がくるかもしれない」。球場に響き渡る“魔曲”ジョックロック。その調べに吸い込まれるように真ん中へと入ってきたスライダーを、振り抜いた。いったん引き寄せた流れは、絶対に渡さない。9回2死では最後の打者の三ゴロに飛びつき、一塁へ。歓喜の瞬間を迎えた。

 祖父は憧れの存在だった。幼少期から春と夏は甲子園で智弁和歌山の試合を見るのが当たり前だった。打撃に悩んだ時は自宅から車で約10分の距離にある祖父宅を訪ねタイミングの取り方を教わる。「調子のいい時はいい顔をしている。3日前に来た時もそうだったから、大丈夫だと思っていた」と名誉監督。「今日みたいな戦い方をすれば勝つチャンスはある」と甲子園での躍進に期待も寄せた。

 「ベンチの前で祖父が立っているイメージが強い」という聖地にたどり着いた。昨夏の交流試合にも出場した奨哉だが、甲子園大会は初。今度は自分が主役になる番だ。「持ち味の打撃でチームを勝たせたい。目標は優勝です」。高嶋家の甲子園ストーリーに、新たな1ページが加わる。(北野 将市)

 ≪イチ氏“すべらない話”実践≫20年2月、アマチュア指導に必要な学生野球資格を回復し、同12月に指導を受けたイチロー氏の“すべらない話”を実践し、8回、ダメ押しの1点をもぎ取った。2死一、二塁から遊ゴロで一塁走者・宮坂厚希が二塁ベースを左翼方向へオーバーラン。タッチアウトとなったが、その前に二塁走者が本塁を駆け抜けた。「スライディングじゃなく、駆け抜けろと教えてもらった。“ちゃんとやってよ”と言われていたので、成功できてよかった」と胸を張った。

 ◇高嶋 奨哉(たかしま・しょうや)2003年(平15)12月19日生まれ、和歌山県紀の川市出身の17歳。奈良・二上小2年から二上スポーツ少年団で野球を始める。岩出二中では粉河シニア所属。智弁和歌山では1年秋から背番号15でベンチ入り。高校通算6本塁打。1メートル73、76キロ。右投げ右打ち。

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