サイ・ヤング賞投票記者の声 「強敵と対戦」でダル、バウアーには「歴史的観点」「数字」で支持集まる
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大リーグは11日(日本時間12日)、今季のサイ・ヤング賞を発表し、ナ、ア各リーグで最終候補3人に残っていたカブスのダルビッシュ有投手(34)、ツインズの前田健太投手(32)がともに2位で日本選手初受賞を逃した。ナはレッズで最優秀防御率に輝いたトレバー・バウアー投手(29)が27人の1位票を集め、アは最多勝など主要3部門を独占したインディアンスのシェーン・ビーバー投手(24)が満票でともに初選出された。接戦が予想されたナは意外な大差で決着。投票した全米野球記者協会会員30人のうち、20人の記者が投票理由をスポニチ本紙に明かした。(奥田秀樹通信員)
■ゴードン・ウィッテンマイヤー記者(NBCスポーツシカゴ)→ダルビッシュに1位票
バウアーは防御率、奪三振、WHIPで上だった。ダルビッシュは先発数、イニング数が多く、K/BB(奪三振÷四球。好投手の指標の一つ)が上で、直接の投げ合いは2度あったが互角だった。そこで、どれくらい手ごわい相手と当たっているかを吟味。ダルビッシュの方が強敵と当たっていると判断した。ア・リーグ中地区覇者のツインズと1回、プレーオフに出たカージナルスと2回、ホワイトソックスと2回。出なかったチームとの対戦は2試合だった。バウアーはこの強豪3チームでは、ホワイトソックスに1回投げただけ。プレーオフに出なかったチームに5度投げた。めぐり合わせに過ぎないが、事実は事実。だから私はダルビッシュを選んだ。
■ジェーソン・スターク(ジ・アスレチック/フィラデルフィア)→バウアーに1位票
私が重視したのは歴史的な観点だ。バウアーは防御率、WHIP(1イニング当たりに許した走者の数)が0・79、被打率・159でリーグ1位。この3部門でトップに立った近年の投手のほとんどが、サイ・ヤング賞を受賞した。また、ナの規定投球回に達した先発投手で、WHIPと被打率の両方をここまでのハイレベルで終えたケースは史上初めて。防御率1・73、9回当たりの奪三振数12・33という数値の両立も、同様に先発投手で史上初だ。その上でバウアーはイニングでもチームに貢献。合計数ではダルビッシュより3少ないが、7イニング目に入った試合が8度あり、ダルビッシュは6度だった。これらを見ると、ダルビッシュがバウアーより上だとは言えない。
■ティム・ブリトン(ジ・アスレチック/ニューヨーク)→バウアーに1位票
受賞可能な投手としてバウアー、ダルビッシュ、デグロム(メッツ)、ラメット(パドレス)の4人に絞った。大事にした投球イニング数の多さと失点数の少なさ。これでバウアーとダルビッシュは他の2人に差をつけた。私はバウアーを選んだ。終盤の4試合の防御率が1・24で、レッズのプレーオフ進出に大きく貢献した。ダルビッシュより先発数が1試合少ないが、イニング数では3回少ないだけだった。防御率はダルビッシュより良い数字で、奪三振数も多かった。
■J・P・ホーンストラ(ロサンゼルス・デイリーニューズ)→バウアーに1位票
私はベースボール・プロスぺクタスの「DESERVED RUNS AVERAGE(DRA)」に重きを置く。シーズン中に対戦した相手打線のレベルをしっかり考慮したデータだからだ。今季は交流戦がなく地区ごとに戦ったため、それぞれのレベルが分からないためだ。今季のDRAはデグロムが2・66、バウアーが2・89、ダルビッシュが3・26だった。防御率を見るのはその後だ。この時点で1位票に甲乙つけがたい場合は、打者がバットを振った際のコンタクト率を見る。今季はデグロムが59・8%、ダルビッシュが70・8%、バウアーが72%だった。最後に動作解析システム「スタットキャスト」の「XW OBA」でここまでのデータが投手のパフォーマンスをきちんと描写できているかを確認する。
■アンドルー・バガリー(ジ・アスレチック/サンフランシスコ)→バウアーに1位票
バウアーとダルビッシュで迷ったが、最終的にバウアーに1位票を投じた。バウアーは2度完封があるが、ダルビッシュは完投が一度もない。バウアーの方が防御率が低く、ERA+も良い数字。WHIPも低い。9回当たりのヒット数は5・1本で、パドレスのラメットと並び先発投手では両リーグ1位。また、シーズン終盤の一番大事な時に好投した。ダルビッシュはFIP(チームの守備力を考慮しない投手成績)で上回るが、それは本塁打が少なかったから。私の考えではFIPは今後の投手の活躍を予想をするための指標。サイ・ヤング賞とは、すでに終わったシーズンの活躍に対して与えられるもので、将来についてのものではない。
■デニス・リン(ジ・アスレチック/サンディエゴ)→バウアーに1位票
例年より先発投手の投球イニング数を重視した。多くのチームで中継ぎ陣がうまく機能していなかったからだ。だから長い投球イニングを投げられる先発投手は例年以上に重要だった。ただ。シーズンは本当に短く、イニング数の違いをどこまで評価すれば良いかの判断は難しかった。
■ラッセル・ドーシー(シカゴ・サンタイムズ)→バウアーに1位票
防御率、FIP、WHIP、三振数、9回当たりの三振率、WARは考慮する。これらデータで候補を絞り込む。しかし最終的には自分の目で見たもので判断する。誰が圧倒的なピッチングをしていたか。誰がチームを背負って立っていたか。最終的な決断は正直とても難しかった。2番目に選んだ選手について、彼こそがサイ・ヤング賞に価すると自分なりの言い分を述べることができるほどだ。
■ボビー・ナイチンゲール(シンシナティ・エンクワイラー)→バウアーに1位票
シーズンが短かったのでイニング数を重視した。防御率、ERA+、OPS、ベースボール・リファレンスのWARなど。真剣に検討した投手は10人に上った。そして個々のスタッツで順番に並べていった。そして最終的に決断した。
■ジャック・エトキン(フォーブス/コロラド)→バウアーに1位票
今季は特別に短いシーズンで、オフの日が極端に少なかった。そんな中、長いイニングを投げて、監督がブルペンを温存するのを助けられた投手こそが、より重要だったのではと考えている。ダルビッシュはイニング数は76で、ロッキーズのマルケス、カブスのヘンドリックスについでナ・リーグ3位だった。今季はこのランキングが、サイ・ヤング賞を受賞投手を決める上で、例年以上に重要だったと考えている。
■アレックス・パブロビッチ(NBCスポーツ/サンフランシスコ)→バウアーに1位票
バウアーかダルビッシュか選ぶのは難しかった。ただ。バウアーの防御率はナ・リーグで他の投手を引き離していたし、9回当たりの三振率もダルビッシュを上回った。WHIP0・79、被打率・159は信じられない数字だった。そして公式戦最後の登板。レッズはプレーオフに出られるかどうか微妙な状況。中3日で先発し、8回を投げ、1失点で、12個の三振を奪った。あの試合でバウアーがサイ・ヤング賞だと決めた。
■A・J・カサベル(大リーグ公式サイト/サンディエゴ)→ダルビッシュに1位票
ダルビッシュもバウアーも両者サイ・ヤング賞に値した。マウンド上での結果はほぼ同じ。ダルビッシュは76回を投げて18失点、バウアーは73回で17失点だ。ただ、ダルビッシュの方が強豪チームと対戦している。ホワイトソックスと2度、カージナルスと2度、ツインズと1度。
■ジョン・パーロット(USAトゥデー/ピッツバーグ)→ダルビッシュに1位票
ダルビッシュはxFIPがバウアーより優れている。ダルビッシュの2・23に対し、バウアーは2・88だ。その上で2人は同じ地区で優勝を争い、ダルビッシュのチームは地区優勝して8勝した。バウアーのチームは地区3位で彼も5勝だった。
■ロッド・レインズ(セントルイス・スポーツページ)→バウアーに1位票
主要スタッツ別に候補と思う投手を並べる。そして、何番だったかのポイントを足していく。その方法で行くと、バウアーは断然、1位で、ダルビッシュは2位だった。
■ジョン・ヘイマン(MLBネットワーク/マイアミ)→バウアーに1位票
バウアーかダルビッシュかでかなり迷った。データだけで言えば、両者は甲乙つけがたい。バウアーは防御率に優れるが、私はバウアーの自責のつかない3失点も計算に入れたからそう変わらない。対戦相手はダルビッシュの方がほんの少し強敵が多かった。それでもバウアーに決めたのはERA+で276という数字を打者有利なグレートアメリカン・ボールパークで達成したこと。加えてバウアーはシーズン終盤に好投を続けチームをポストシーズンに導いた。
■ウィル・サモン(ジ・アスレチック/ミルウォーキー)→バウアーに1位票
バウアーは1試合3失点以上は3試合、ダルビッシュは4試。8月のナ・リーグの最高の投手はダルビッシュ、9月はバウアーだった。最終的に決め手となったのはバウアーの終盤の圧倒的なピッチング。最後の4試合は4失点でチームをプレーオフに導いた。
■スティーブ・ギルバート(大リーグ公式サイト/アリゾナ)→バウアーに1位票
数字でバウアーに決めた。ERAやWHIPのような以前からある数字でも、ERA+やベースボールレファレンスのWARでもバウアーが上だった。仮にFIPとファングラフスのWArを信じる記者ならダルビッシュを選ぶかもしれないが、私はそうではなかった。とはいえ、私はダルビッシュのピッチングを見るのが好きで人間的にも好感が持てる。だからつらい選択だった。
■トーマス・ハーディング(大リーグ公式サイト/コロラド)→バウアーに1位票
実は最終登板前まではダルビッシュに投票するつもりだった。だが、最後の試合のバウアーのピッチングがすごすぎた。データで見れば2人は遜色ない。私はどちらかを選ばねばならない。ダルビッシュには申し訳ないがバウアーが終盤の好投でチームをプレーオフに導いたことがモノを言った。
■ポール・ニューベリー(AP/アトランタ)→バウアーに1位票
ダルビッシュもサイ・ヤング賞に価すると思うが、バウアーにしたのは防御率1・73とWHIP0・795が両方リーグで1番だったこと。私はこのデータを信じている。
■デビッド・ブラント(AP通信/アリゾナ)→バウアーに1位票
バウアーにしたのはWHIPがリーグ1位の0・795だったから。加えて73イニングを投げて41本しかヒットを許していない。しかも長いイニングを投げた試合が多かった。平均するとほぼ7イニングで、近年なかなかないことだ。一方、ダルビッシュはカブスをプレーオフに導いた功績があり、彼を選ばないことに抵抗はあった。結果的にはバウアーのパフォーマンスが少し上回ったと判断した。
■トッド・ロシアック(ジャーナル・センチネル/ミルウォーキー)→バウアーに1位票
私はサイ・ヤング賞は迷わずバウアーだと判断した。むしろ悩んだのはデグロムとダルビッシュのどちらを2位にするか。ダルビッシュは最多勝で、防御率もWARもデグロムより上。一方、デグロムはナ・リーグの奪三振王で、奪三振率も1位。WHIPも少し上。最終的にデグロムにしたのは戦力が劣るメッツで、それでも彼が投げた試合では8勝4敗と好成績を残せたからだった。
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