503度の守備機会で失策0 広島・菊池涼 史上初の二塁守備率10割 攻める守備で“究極”達成

[ 2020年11月12日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-3中日 ( 2020年11月11日    マツダスタジアム )

<広・中24>失策なしでシーズンを終えたことを紹介され、ベンチで笑顔の菊池(撮影・椎名 航)
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 広島・菊池涼介内野手(30)が前人未到の金字塔を打ち立てた。レギュラーシーズン最終戦となる11日の中日戦(マツダ)に出場せず、二塁手として両リーグで初のシーズン無失策、守備率10割を達成だ。試合は2―3で敗れ、52勝56敗12分けの5位で今季終了。佐々岡真司監督(53)は悔しさを糧に来季のV奪回を誓った。

 究極は、究極でなくなった。新年の自主トレ公開日に掲げるシーズン無失策の大目標。「究極だけどね」の決まり文句はもう必要ない。天然芝を本拠地とする二塁手が成し遂げた前人未到の快挙。“名手らしい”こだわりの中で、菊池涼は安ど感をにじませた。

 「ゼロで本当にチームに貢献できたのか…という思いがある。うれしいし、ホッとしているけど、究極を突き詰めると、あの場面ではもっとこうできたんじゃないか…とかね」

 中日とのレギュラーシーズン最終戦に出場せずとも大記録は決して色あせない。二塁手として両リーグで初めてシーズン守備率1・000を達成。1987年の大洋(現DeNA)・高木豊、94年の日本ハム・白井一幸の同・997を抜いた。

 雑念を打ち消しながら必死に目の前の打球を処理してきた。10月15日の巨人戦で、93年に阪神・和田豊がマークした二塁手のシーズン連続守備機会無失策記録432を更新。同時に、開幕から91試合続けていた無失策もクローズアップされた。

 「ささやかれるようになり、どこか意識する部分はあったけど、チームのために…と過ごせたのが良かった」

 攻める守備がモットーだ。リスクを犯して球際を攻め、敢えて難しい打球に飛びつく。「攻め切れれば投手は楽になる。攻めない守備に価値はない」。だからこそ無失策がキラリと光る。シーズンの連続守備機会無失策記録は10日のヤクルト戦で503に伸ばした。

 「今季は試合数が少なかったし、出たり出なかったりの状況だったので、来年継続してこそ大記録だと思う。更新できればいいけど、一番はチームのために何ができるか」

 野村謙二郎元監督(本紙評論家)の教え「打撃は打撃、守備は守備。しっかり切り替えて」を忠実に実行した2020年。「野球はメンタルだ…と改めて感じた」と振り返る。悟りを胸に刻んで臨む来季、異次元の攻める守備に期待が膨らむ。(江尾 卓也)

 《一塁手以外では初》菊池涼(広)は今季二塁で103試合(守備機会503度)に出場し失策0で守備率10割を達成した。守備記録の規定試合数(全試合の2/3)以上で守備率10割の内野手は、いずれも一塁手の18年ロペス(D)、昨年の岡本(巨)と内川(ソ)に次ぎ史上4人目。一塁手以外では初の快挙で、87年に高木豊(大洋)が記録した二塁手の最高守備率・9971を33年ぶりに更新した。

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