【大谷翔平単独インタビュー(1)】本音で語った二刀流の将来「例えばもう一回ケガをして…」

[ 2020年11月12日 08:00 ]

エンゼルス・大谷 単独インタビュー(1)

インタビューに答える大谷翔平(撮影・山内 愛子)
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 メジャー3年目のシーズンを終えたエンゼルスの大谷翔平投手(26)が、オンライン取材でスポニチ本紙の単独インタビューに応じた。二刀流に対するこだわりと覚悟、結婚観や、人気漫画「鬼滅の刃」を愛読しているオフの様子まで。日本ハム時代から担当7年目を迎えた本紙MLB担当の柳原直之記者(35)が本音に迫った。

 単独インタビューは約1年ぶり。パソコンの前で待っていると、水原一平通訳の愛犬の姿が映った。「ここは大谷君の家?」と聞くと「この犬の家です」。思わず笑ってしまった。「うふふ、じゃないですよ」と大谷に大笑いされてしまったが、リラックスした表情だった。

 ――2年ぶりに二刀流復帰を目指した今季は右肘付近を痛めて2試合の登板のみ。打者は打率・190など苦しんだ。自己評価は。
 「“打ち心地通り”の数字かなという印象ですね。打席の中で心地よさはそんなになかったので」

 ――19年のシーズン後に受けた左膝手術の影響はあったか。
 「膝に違和感はほぼなかったです。もちろん最初から万全でというか、痛みがゼロでやれるというわけではなかった。その過程の練習で“軸足の残りづらさ”とか、若干クセになっているというのは感じていました。そこは修正の余地があると思いながら、シーズン中はやっていたけど、なかなか戻しきれなかったという感じです」

 ――カブス・ダルビッシュは34歳で全盛期を迎えている。肉体、技術的ピークに対する考え方は変わったか?
 「肉体的なピークもあるでしょうし、技術的にもフィジカルとかみ合っていく時期は必ずあると思う。そこに向けて頑張ろうというのは、全く思っていない。毎年ピークだと思って頑張るし、今年がベストの年だと思ってやるからこそ、ピークに達した時により良くなるんじゃないかなと」

 ここで画面がフリーズ。オンラインならではのハプニング。「聞こえています?」と大谷。「ちょいちょいフリーズするんです」と答えると「こっちは、聞こえていますよ全部。そっちの問題です。ハハハ」。笑われているうちに、通信は正常に戻った。

 ――その考え方を含めて二刀流は何歳までやりたいと?
 「うーん…。いけるところまでやりたいなと、もちろん思っています。例えばもう一回ケガをして、年齢的なものを考えて打つ方に専念した方が選手としてもチームとしてもいいのかな、と思う時期が来るのかもしれない。最後まで健康にどちらもやって、ただ単に実力がなくて引退するっていう時がくるのかもしれない」

 ――将来的に一方に絞る可能性がある。
 「可能性のある話として考えはしていますけど、必ずこうあるべきだというのは特には考えていないです。一年一年が勝負の年だと思って、ダメだったらダメだったで来年につなげるのか、もう無理だと思ったら引退するのか。それくらい出し切る気持ちで毎年やることがまずは大事だと思っています」

 ――二刀流継続は肉体的な部分とチームの需要が大事。
 「どちらもですね。バッティングに限界が見えて、ピッチャーの可能性がもっともっと広いと思うのであれば、ピッチャーだけをやるということもあるかもしれない。誰も先が見えているわけではないので」

 大谷を見続けて7年。二刀流の将来にここまで踏み込んだ答えが、返ってきたことはなかった。「例えばもう一回ケガをして」は、逆に“もうケガはできない”という強い覚悟と責任感。若手でもベテランでもない26歳になった、成長のひとつだと感じた。

 ――来季について。
 「毎年ベストな年になるように。結果もそうですし、自分のそのやり切ったと思える年に毎年できるように。そういう意味では今年は全然、やり切ったとは思える年ではなかった。そういう一年にしたいと思っているので、今から頑張りたいなと思っています」

 ▽大谷の今シーズン 18年10月に受けた右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から、2年ぶりに二刀流復帰を目指したが、「右肘付近の屈筋回内筋痛」を発症。投手は2試合のみの登板で0勝1敗、防御率37.80。打者では打率.190、7本塁打、24打点と苦しみ、9月中旬には故障以外では初めて6試合連続スタメン落ちも経験した。

 ◆柳原 直之(やなぎはら・なおゆき)1985年(昭60)9月11日生まれ、兵庫県西宮市出身の35歳。関学大では準硬式野球部所属。3年半の都市銀行勤務を経て、12年スポニチ入社。遊軍、日本ハム担当を経て18年からMLB担当。

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